第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#21
DARK BLUE MOONXIII 〜D・A・H・L・I・A〜
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ば》 むガラスの欠片と共に真下へと落下する。
ほぼ同時に破壊の余波で屋上全域が完全に崩壊し、
4方を取り囲んでいた巨大な龍の彫像も重力の魔に引かれ、
時空を消し飛ばす能力で呑み込まれるように奈落の底へと堕ちていく。
落下に伴う一瞬の浮遊感を認識する間もなく、
砕けた夥しい残骸が階下に絡まるガラス張りのブリッジを直撃し、
ものの数瞬で無惨な廃墟へと変えた。
(――ッ!)
己の落下経路が丁度、残骸の豪雨に見舞われ大きく抉れた空間だというコトを
危難の最中で察知した承太郎は、そのまま自分の近くを共に落ちている
ラミーをスタープラチナの左手で強く突き飛ばしバックリと口を開ける
破壊空間の喉元へと正確に押し込む。
面食らったような表情で落下する己を見つめる老紳士を後目に
彼もスタンドの右腕を伸ばしブリッジにメリ込んだ残骸の端に掴まろうと試みるが、
射程距離が足りずもう一つの腕は虚しく空を掻く。
(チィッ……!)
絶大な破壊力を誇る近距離パワー型スタンドも、
今この状態に在っては単なる搦め手。
更に差し迫る窮地に承太郎が歯噛みする刹那、
己のスタンドを強く握り返す柔らかい手が在った。
「承太郎ッ!」
暴戻たる惨状の最中口元に笑みさえ浮かべて、
シャナが瓦礫の端から躰を乗り出すように手を伸ばし落下する己の躯を支えていた。
おそらく纏った黒衣の能力を利用して落下スピードを減退させ、
宙に浮く残骸を蹴り付けてここまで飛んで来たのだろう。
「……」
開けた空間に宙吊りの状態で、促されるように彼の口唇にも微笑が浮かんだ刹那。
「――ッッ!!」
突如シャナの背で無数の蒼い炎弾が爆ぜ、吐き出された多量の呼気と共に
黒衣と肉の焦げる匂いが無頼の貴公子の鼻をついた。
「あうぅッッ!!」
予期せぬ襲撃にバランスを崩して瓦礫に伏し、
剥き出しの鉄骨ギリギリの位置までその身を追い込まれるシャナ。
咄嗟に見上げた視線の先、鉄骨が拉 げ表面が罅だらけになったブリッジの上に、
生ける屍 と化した蒼炎のフレイムヘイズの姿が在った。
長い栗色の髪を破滅の戦風に吹き散らし、
ズタズタの半裸の躰でこちらに左手を差し向けている。
髪に紛れてその表情は伺えず、未だ意識も復活していないが
『しかしそれ故に』 己の射程圏内で動くスベテの者を無差別に攻撃する
狂戦士へと変貌を遂げている。
「うっ……!」
如何なる時も冷静で常に論理的な判断を下す承太郎の状況分析が、
眼上から聞こえた声によって停止した。
焦撃で先刻の傷が裂け、無数の紅い筋が伝う腕であっても、
彼女はその手を反射的にも離そうとはせず
不安定な体勢のまま懸命に承太郎の躯を繋ぎ止めている。
今の
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