暁 〜小説投稿サイト〜
STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#21
DARK BLUE MOONXIII 〜D・A・H・L・I・A〜
[2/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
完全に意識を断たれた筈のマージョリーが、
ズタボロになった半裸の躰を亡霊のように引き起こし、
白一色の双眸のままその全身から自虐的とも云える
禍々しい炎気を暴走させていた。
「そ、そんなッ! 立ち上がる力なんて、それ以前に意識がもう!」
「……」
 通常絶対に在り得ない現象に言葉が断片的になる少女とは裏腹に、
無頼の貴公子は口元を軋らせながら臨戦態勢を執る。
 意識を完全に断たれた人間が、ソレでも尚敵に立ち向かうコトは可能であろうか?
 解答(こたえ)(こう)
 確かに今現在マージョリーの脳は、
先刻シャナの刳り出した永続斬刀陣に拠り休眠の状態に在る。
 しかし、他者の存在を想えるのは、“感じるコトが出来るのは”
「脳」 のみとは限らない。
 人体を構成する細胞、その数約60兆。
 その一つ一つに例外なくスベテ、
数百年にも及ぶ彼女の紅世の徒に対する憎しみが宿っており、
ソノ深淵の慟哭が、暗黒の異図で繋がれた傀 儡(マリオネット)のように
彼女の躰を無理矢理動かしているのだ。
 まるで、死して尚 “怨念” のみで無限に稼働を続けるスタンド能力で在るかの如く。
 この世に蔓延る紅世の徒スベテを、ただ殲滅するその為だけに。
 視る者全てに脅威を植え付けるには充分な光景で在ったが、
実質はただ立ち上がっただけなので、
すかさずシャナ或いは承太郎が襲撃を仕掛ければ、
敢え無く決着はついた筈である。
 しかし凄惨ながらも美しきソノ姿に想わず魅入った二人の反応が、一瞬遅れる。
 その合間に美女の右腕を取り巻く、夥しい量の群青の炎。
(こんな……所で……やられるなら……こんな……所で……倒れるなら……)
 マージョリーの躰の裡から嘆きのように滲み出る、深き怨嗟の声無き声。
(なら……一体……何の為に……?)
 その間にも蒼炎は一本の巨大な脚と化し、
尖端にギラつく大爪が甲底部を突き破るのを厭わず拳を握る。 




“一体……何の為に……ッ!”




 美女の全身を取り巻く可憐な少女の幻象を背景に、
ガラスの大地に揮り上げられた群青の拳槌が断首台の如く敲き堕とされた。



 ヴァッッッッッッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ
ァァァァァァァァァァァ――――――――――――――ッッッッッッ!!!!!!!



 海面に巨大な火球が激突したかのような大鳴動と共に、
先刻までの死闘の舞台はいとも容易く撃ち砕かれた。
 暴風が荒び、粉塵が撒き拡がり、鉄片が飛び交う破壊の爆心源。
 それらスベテを彩る、莫大な量の硝刃大豪雨。
「!」
「!?」
「!!」
 その直中に位置していた承太郎、シャナ、ラミーは崩落に巻き込まれ
周囲に|鏤《ちり
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ