ー第75層 迷宮区ー
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およそ全ての女子達が羨ましいがるような艶があり、柔らかな質感の髪の毛を撫でるたびに荒んだ心が癒される気がする。 ユーリセラピーの効果は抜群である。
「むふ〜♪」
「くそ……」
満足して解放するとボサボサになった髪の毛のまま抗議の意を込めた視線を投げかけてくるが、すぐに無意味と悟ると足早に歩いて行ってしまう。 その背中を追いかけつつ、私は小さく微笑んだ。
門の解放後、暫くの間モンスターとのエンカウントが少なくなるという制約のおかげで特に戦闘することなく出口に辿り着くと、既に陽が傾き、夕陽が外の景色を茜色に染めていた。
「綺麗だな」
「そだね〜」
石段に腰掛けるユーリの隣に座ると空をと目の前に広がる森を視界に収める。
次第に茜色から濃紺色へと塗り替えられていく様を見て、二人揃って感嘆の声を洩らした。 現実の世界では特に気にすることのなかった夕焼けがここでは特別に見えてくる。 もしかしたら、私たちが気がつかないだけで現実はもっと素敵なことが溢れているのかもしれない。 茅場彰彦がなぜこんな世界を創ったのかは知らないし、許す気もないが今この瞬間だけは感謝した。
と、そんな時チカチカと視界の右端で光が点滅し、メールの受信を告げていた。
「……誰だろ」
フォルダを開き、確認すると差出人は今は休養中のアスナからだった。
『相談したいことがあるから明日、家に来て欲しい』
簡潔に書かれた内容が私の不安を煽った。
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