第一章 ハジマリ
第6話 不気味な男
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「! いたっ!」
河川敷に行くとそこに彼の姿はあった。
アステリは橋の下でしゃがみこんで辺りを見回している。何やら周囲を警戒している様だ。
彼の姿を見た天馬はホッと胸を撫で下ろして、アステリの傍へと駆け出す。
「アステリ!」
天馬がそう叫ぶとアステリはキョロキョロと辺りを見回した後、驚いた顔で駆け寄る彼を見た。
「天馬……!?」
傍まで走ってきた天馬にアステリは「どうしたの?」と驚いた表情をする。
アステリの言葉に、走った事で乱れた呼吸を正しながら天馬は口を開く。
「どうしたの? じゃないよ! 心配したんだから……っ」
少し強い口調でそう言う彼に、アステリは目を丸くして驚いた。
「心配……? ……ボクを捜しに来たの?」
「当たり前だろ!」
少し怒りぎみに天馬が言うとアステリは申し訳なさそうな顔をして「ごめん……」と謝る。
天馬自身、本当はそんな強く言うつもりはなかったんだろう。
けれど凄く心配していた分、アステリの態度につい声を荒げてしまったのだ。
――それにしても無事でよかった……。
天馬は一つ息を吐きだして安堵する。
「帰ろうか」……そう天馬が言おうとした途端、アステリが沈み込んだ暗い声で呟いた。
「キミ達に、迷惑をかけちゃいけないと思って……」
その言葉に天馬は首を傾げる。
迷惑とは何の事だろう……?
今の状況や口ぶりからして、急に姿を消した事に対しての"迷惑"では無い気がして、天馬は「どう言う事?」と聞き返そうとした。
その時。
「お話し中、失礼するよ」
背後から声が聞こえた。
「!?」
突然聞こえた声に驚いて振り返ると、赤い髪の男がこちらを見ていた。
その男を見て、天馬は驚愕する。
男の顔は右半分が包帯で隠れており、着用した黒いコートにはいくつもの鎖が巻かれている。
そんな風貌も常人とは思えない異様さを醸し出す要因の一つだったが、何より天馬が驚いたのは彼の"状況"だ。
「人が、飛んでる……!?」
「! ……っ」
上空から突如として現れた男の姿を見て、唖然とする天馬とは裏腹に、アステリは眉を潜め顔を強張らせる。
男はそんなアステリを見るとニタリと不敵な笑みを浮かべた。
「こんな所に隠れて、僕から逃げたつもり……?」
「! アステリ……知ってる人……?」
男は天馬の言葉を聞くと、一瞬キョトンとした顔をした後、すぐさまさっきの様な不敵な笑みを浮かべ話し出した。
「アステリ? ……へぇ、なるほど。裏切り者はこの世界でそんな名前で動いているんだ……」
そう呟く男を見て先ほどよりアステリの表情が曇っていく。
男の言葉に天馬の中で疑問が
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