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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第6話 不気味な男
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生まれる。

――“裏切り者”って……どう言う事だ……?

 すると男は地面に着地し「申し遅れたね」と天馬の方を見て話し出す。

「僕の名は『カオス』。この汚らわしい世界を変える四大親衛隊【モノクローム】の一員さ」
「は……?」

 天馬はカオスと名乗った男の言う言葉が理解出来なかった。

――“汚らわしい世界を変える”……?
――“四代親衛隊モノクローム”……?
――さっきから一体何を言っているんだろう……。

 訳の分からないまま混乱し始める天馬の心情を知ってか知らずか、アステリが口を開く。

「カオスは元々ボクが住んでいた世界の住人で、逃げ出したボクを追って、この世界に来たんだ……」

 そう辛そうな表情で俯くアステリを見ながら、天馬の頭はますます混乱状態へと陥っていく。
 アステリやカオスが言う“世界”とは何の事だ? 今自分達がいる世界の事じゃないのか? それに逃げ出したとか裏切り者とか……。
 グルグルと頭を巡る色々な疑問や言葉に頭を悩ませる天馬を置いて、二人は話を続ける。

「僕は我が主の命によって裏切り者……僕等の世界から逃げ出した彼を連れ戻しに来ただけさ」
「ボクはあんな所になんか戻る気はない! あの世界を変える為にも、ここで立ち止まる訳には行かないんだ!」

 聞いた事も無い程強い言葉で叫ぶアステリに、カオスは少しムッとした態度で「あぁそうかい」と吐き捨てる。
 かと思うと最初の時の様に地面から足を放し、空中に浮遊し始めた。

「人がせっかく優しく接してやったのに、その態度かい。残念だなぁ、僕は」

 そう語るカオスの表情は笑顔だ。
 だけど、その言葉の裏にはアステリに対する呆れとイラ立ちがこもっているのが感じとれた。
 そして最後に浅く息を吐くと、

「じゃあ、もういいや」

 そう、笑みの無い声で呟いた。
 不意に、カオスの傍で何かが光った気がして天馬は目を瞬かせる。
 瞬間。

「! 危ないッ!」

 慌てた様子のアステリの声を聞いたのもつかの間、彼は天馬の頭を掴み、あろう事か地面にその頭を叩きつけたのだ。
 急の出来事に天馬の思考は追い付かず、ただ地面に打ち付けられた額の痛みに悶えるしかなかった。
 天馬はアステリが頭を抑えているせいで何が起こったのかすら分からない。

「チッ……」

 カオスの舌打ちと共に、アステリが頭から手を放す。
 天馬は急いで頭を上げると、アステリの方を向き「急に何!?」と混乱した様子で叫んだ。
 アステリは「ごめん」と一言謝った後、すぐさま天馬の後ろを指差す。
 天馬が混乱した頭のまま、振り返ってみる。と…

「!? ひっ……!?」

 目の前には鋭く光るナイフが数本、壁に深々と突き刺さっていた
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