第一章 ハジマリ
第5話 真夜中の出来事
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「待って!」
そう、飛び起きた天馬の目に映ったのは
「………………あれ……」
見慣れた自分の部屋だった
「………………はぁ……」
一つ息を吐きだすと、目覚めたばかりで朦朧とする頭を抑えて、天馬は考え込む。
――今のは……全部夢……。
――でも、それにしては妙にリアルで……今でもハッキリと覚えている。
――あの男の声だってまだ……。
「天馬……?」
「!」
そこまで考えると隣から自分を呼ぶ声が聞こえ、天馬は振り返る。
と、そこにはまだ眠そうな目をこすりながら彼を見るフェイがいた。
どうやらさっきの天馬の声で起きてしまった様だ……
「どうしたの……? 大きな声出して……」
まだ眠気の混じったダルそうな声でそう尋ねるフェイに、「なんでもないんだ」と天馬は謝る。
それを聞いて「なら良いけど……」と言うと、フェイは再び布団に潜ってしまった。
アステリにも悪い事しちゃったな……と思い隣を見る、が。
「……あれ」
瞬間、天馬は気付いた。
ベッドで眠っているはずのアステリの姿が無い事に。
不思議に思い、狭い部屋の中をぐるりと見回すが。
やっぱりいない……
布団の中で寝返りをうちながらもう一度寝ようとするフェイに、天馬は尋ねる。
「ねぇフェイ。アステリがどこに行ったか知らない……?」
天馬の声に「え」と驚きの声を上げると、布団から顔を出してキョロキョロと周りを見回すフェイ。
「本当だ……どこ行っちゃったんだろう……」
――フェイも知らないのか……。
「どこに行ったんだろう」と心配そうに話す天馬に、フェイは「すぐ戻ってくるよ」と安心させる様に言い放った。
フェイの言葉に天馬も「きっとトイレか何かだろう」と自分の中で片づけ、もう一度布団の中に入る。
部屋の中ではカチカチと時計の針が進む音だけが響く。
その中で天馬はさっき見た夢について考える。
――あの世界は一体なんだったんだろうか……。
未だ鮮明に覚えている夢の風景を思い出しながら天馬は考える。
あの世界も、そこにいた黒い塊の様な奴等も……
それに、あの黒い服を纏った男も……
他人からしてみれば、全部『夢』で片づけられる様なモノばかりだったが……天馬は、気になって仕方が無かった。
部屋の中では相変わらず、時計の針が進む音と、後ろで眠るフェイの寝息だけが響いていた。
――それにしても遅いな……アステリ……。
あれから十分近く経過した。それでも、一向にアステリが帰ってくる気配は無い。
トイレにしては遅すぎる。
「もしや慣れない場所で迷子になっているのか?」なんて考えたが……
家はそんなに広くないし……トイ
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