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Three Roses
第十三話 旅立ちその四

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「ですから」
「だからこそ」
 マリアも言う。
「尚更に」
「旧教は保護すべき」
「このことも絶対です」
「ですが新教の信仰は守る」
「それと共にです」
「我等の新教は旧教の教えや儀式も入れています」
 政治的な配慮により折衷したのだ、今の王が二代前の王つまりマー達の父であった彼と共に考えそうしたものにしたのだ。これによりこの国の新教は旧教とも比較的共存出来る穏健なものとなったのである。
「ですから旧教からも親しみやすいです」
「それ故にです」
「旧教の保護も必要ですが」
「あくまでそれは新教への信仰からのこと」
「そこはお守り下さい」
「何としても」
「わかっているわ、私もまた」
 マリアは確かな声で周りに答えた。
「そうしていくわ、ただ」
「ただ?」
「ただといいますと」
「私はマリーやセーラの様な資質はないわ」
 ここでだ、マリアはあえて自分自身のことを話したのだった。
「全くね」
「いえ、それは違います」
「マリア様はお二方の資質をそれぞれバランスよく持たれています」
「中庸といいますか」
「それがおわりです」
 それがマリアだとだ、周りの者達は彼女に答えた。
「ですから」
「そのこともご安心下さい」
「マリア様ならばです」
「あの国の王妃となれます」
「そしてこの国との融和も進められます」
「平和ももたらせます」
「この婚姻を決められたのは父上」
 マリアは遠い目になって言った。
「セーラのそれも」
「はい、そうです」
「マリー様の件もです」
「全ては王が決められました」
「そうされますか」
「誰がどの国に行きどうあるべきか」
 その遠い目、だが確かなものを見ている目でだ。マリアは話していった。
「父上は考えておられるのね」
「そしてその結果です」
「マリア様は島国に行かれるのです」
「未来の王妃として」
「そうなります」
「わかったわ、ではね」
 それならとだ、マリアも頷いた。そしてだった。
 周りの者達にあらためてだ、こう言ったのだった。
「犬達も連れてあの国に行くわ」
「はい、そうされて下さい」
「是非共」
「そしてあの国でもお幸せに」
「そうされて下さい」
「人は誰でも幸福にならなくてはならない」 
 この言葉もだ、マリアは出した。
「マリーが言っていたかしら」
「まさにその通りです」
「人は誰もが幸せになるべきです」
「ですからマリア様もです」
「幸せになられて下さい」
「そうなるわ、それともう一つ持っていくものがあるわ」
 こうも言うのだった、ここで。
「あれを」
「薔薇を、ですね」
「三色の薔薇達」
「それを」
「ええ、あれがなくては」
 これまで以上に強い言葉でだ、マリアは言った。
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