第十三話 旅立ちその二
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「ですから」
「何があろうともですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「心配は無用です」
「それは何よりです」
「どうしてもそうした危険はあります」
刺客、それがというのだ。
「毒もです」
「毒殺ですね」
「そうしたことは常にあります」
「確かに」
暗い顔になってだ、マリーはキャスリング卿の言葉に頷いた。
「そうした話は常にありますね」
「王家、そして貴族なら」
「それならですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「警護役もついています」
「あの娘達に」
「毒見役もです」
そちらもというのだ。
「しかと」
「それは何よりですね」
「しかもです」
ここでロドネイ公もマリーに言ってきた。
「工夫をしまして」
「毒見役の方にですか」
「人ではありません」
「と、いいますと」
「犬です」
この生きものをというのだ。
「多くです」
「二人に毒見役としてですか」
「連れて行く様にしています」
「犬をですか」
「犬なら常に傍にいてもいいですね」
「警護にもなりますね」
「警護兵と共にです」
その犬達もというのだ。
「なります、そして」
「そのうえで、ですね」
「毒味にもなります」
「犬達が先に食事を食べてですか」
「それになります」
「わかりました」
こう言うのだった。
「そうしますか」
「犬は人間よりもです」
「目立たないのですね」
「犬が多くいても犬好きだと思われるだけですね」
「確かに」
「しかし実は、というのです」
「そういうことですか」
「はい、そうです」
まさにというのだ。
「ですからそうしました」
「犬達を毒味役にですか」
「そうします」
「わかりました。それでは」
マリーはロドネイ公の言葉に頷いた、そしてだった。
そのうえでだ、彼女の側近達にこう話した。
「二人が嫁ぐ先に国々でも幸せになれる様に」
「その様にですね」
「お願いします」
「わかりました、それでは」
「はい、そうします」
こう話してだ、そのうえで。
セーラとマリアが嫁ぐ為に国を後にするその時まで備えるべきものを備えていた。それは二人から見ても物々しく。
多くの犬達を見てだ、マリアは周りの者達にいぶかしむ顔で問うた。
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