第十三話 旅立ちその一
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第十三話 旅立ち
奇しくも同じ日にだった、セーラとマリアはそれぞれが嫁ぐ国に向けて発つことになった。マリーはその話を聞いてまずはこう言った。
「では私達はですね」
「はい、お別れとなります」
「その日において」
「少なくともこの王宮ではです」
「そうなります」
「そうですね、ですが心は」
ロドネイ公達の言葉を聞きながらだ、マリーは。
王宮の薔薇、赤と白、黄色のそれ等を見つつ言った。
「これかでもですね」
「はい、共にあります」
大司教がマリーのその言葉に答えた。
「これからも」
「そうですね」
「マリー様とお二方の絆は永遠です」
「深く、そしてですね」
「強いものです」
こう言うのだった。
「ですから」
「だからですか」
「はい、そうです」
その通りという返事だった。
「ですからご安心下さい」
「はい、わかっています」
マリーは微笑んだ、そのうえでの言葉だ。
「私もまた」
「では」
「私は二人を笑顔で送り出します」
「そしてですね」
「これからも絆を守って育てれいきます」
「そうされて下さい、幸い島国と半島は日増しに我々に好意的になっています」
旧教、とりわけ王国派の貴族達の力が弱まっているというのだ。外交に明るいデューダー卿がこのことを話す。
「ですから」
「二人もですね」
「害される心配は少なく」
「しかもですね」
「両国はです」
そのどちらの国もというのだ。
「我等に友好的になっています、そもそもです」
「この国と周辺諸国は」
「元々民族が同じですし君主もです」
「血のつながりが濃いですね」
「確かに長年いがみ合ってきていますが」
それでもというのだ。
「兄弟の様な間柄、それではです」
「衝突があったにしても」
「お互いわかるものがあります」
民族的にも王家同士にしてもというのだ。
「王家間だけでなく諸侯、貴族間の婚姻も盛んですし」
「だからですね」
「このまま絆はです」
「守られますか」
「はい」
まさにという返事だった。
「むしろですね」
「これからもです」
まさにというのだ。
「深めていくべきです」
「わかりました」
マリーも頷く、そしてだった。
マリーは薔薇達を見つつだ、こうも言ったのだった。
「永遠の別れではなく再会までの時」
「その通りです、お三方の絆はどうして崩せましょう」
ロドネイ公が厳かにだ、そのマリーに言った。
「それを」
「だからですね」
「ご安心下さい、そして」
「その絆がですね」
「この国、そして島国にも半島にもです」
「平穏をもたらしますね」
「そうなるのです」
まさにというのだ。
「ですから」
「わかりま
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