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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第八十四話 西瓜割りその四

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「こうして割れない、周りから言ってそれに誘導される」
「そうしたことを楽しみますのね」
「それが西瓜割りなんだ」
「わかりましたわ」
 ジョーンさんは納得した笑みで頷いてくれた。
「そうしたものなのですわね」
「うん、そうなんだ」
「変わった遊びですわね」
「日本独自だと思うよ」
 僕はジョーンさんにこうも話した。
「この遊びは」
「日本だけの」
「それも夏だけのね」
「そうした遊びですのね」
「ニュージーランドじゃないわね」
「はい」  
 ジョーンさんは僕にはっきりと答えた。
「こうしたものは」
「西瓜はあっても」
「はい、西瓜はあります」
 これはあるというのだ。
「ですが」
「こうして夏に砂浜で割ることはね」
「目隠しをしてすることは」
「ないよね」
「そうです」
「誰がはじめたか知らないけれど」
 僕は首を傾げさせてこうも言った。
「こうした遊びもあるんだ」
「日本には」
「そうなんだ」
「そして割った西瓜を皆さんで食べるのですわね」
「そうだよ」
「割ってです」
 ここでジョーンさんはこんなことを言った。
「その後皆さんで召し上がられるにしても」
「ああ、割った西瓜がだね」
「粉々になっていませんか?」
「そうしたことはありそうでね」
 どうかとだ、僕はジョーンさんに西瓜割りの現実を話した。;
「案外なんだ」
「ありませんの」
「うん、そもそも目隠しをしているよね」
「はい」
「それでほら」
 見れば今からダオさんがするけれどだ、まずはぐるぐると回転させられている。これで方角をわからなくするのだ。
「まず回転させてね」
「西瓜の方向と、ですわね」
「違う方向ではじめるし」
「回りますから方向感覚もなくなる」
「そうなるから」
「しかも目隠しをしていますので」
「そう簡単にはね」 
 それこそなのだ。
「割ることが出来ないんだ」
「そうなるのですわね」
「だから滅多なことじゃね」
「割れませんわね」
「そうなんだ」
「そういうことですのね」
「本当に割ろうと思ったら」
 これが、なのだ。
「もう奇跡みたいなものなんだ」
「相当な達人でもないと」
「無理よ」 
 今度は日菜子さんが来た、緑と青のすっきりとしたワンピースがかえってそのスタイルを引き立てている。
「無理だよ」
「では日菜子さんは。
「私?絶対によ」
「出来ますのね」
「無理よ」
 笑っての返事だった。
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