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インフィニット・ストラトス 黒龍伝説
誓う蛇
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ボロにはなるがそれだけだ。黄色系恒星の太陽ごときの熱では日焼けすらしない。むしろ低温サウナだな。








「私のパパとママになってくれ!!」

「おい、誰だ!!ボーデヴィッヒさんに変なことを教えこんだ奴は!?」

明日から授業に復帰する予定のボーデヴィッヒさんが食堂で馬鹿な話を上げたので、つい大声で周りに問いただしてしまった。

「よし、とりあえず一から話そうな。どうしてそうなってほしいと思ったんだ?」

「……私は、軍で、優秀な軍人を作り出すために試験管から生み出されたデザインベビーだ。記憶にあるかぎりでは、その、世間一般で言う親子の情と呼べるものに触れたことなんてない。一時期は落ちこぼれになり、誰からも必要とされなくなったこともある。いや、一人だけ気にかけてくれていたか。それから、教官に出会って、特訓を付けてもらって、皆に認められるようになった。それが嬉しかった。だから、教官がドイツからいなくなってからはモヤモヤしたものが胸の奥にあった。元士郎にはこれがなんなのか分かっていたのだろう?」

「まあな。そいつはな、寂しいって感情だ。軽く話を聞いただけで分かった。軍人としてのスキルは確かに高いんだろうが、人としてはまだまだ子供なんだってな」

「そう真正面から言われると恥ずかしいな。まあ、それが分かるようになったのが、あの保健室の後だ。眠る直前までの暖かさがなくて、一人闇の中にいて、教官がドイツから去った時よりも胸のモヤモヤが大きくて、保健室にいた教師に尋ねた。そこで初めて寂しいということを知って、やっと分かったんだ。私は、家族のぬくもりを求めていたんだって。そして、教官よりも二人に求めてるんだと」

「なるほどな。話は分かった。結論から言おう。オレ達はボーデヴィッヒさんの両親になってやることはできない。政治的な面でもそうだし、オレ達は未成年だからな。法的に家族になることはできないし、同い年の子供なんてものはおかしいからな」

「……そうだな。すまない。この話は忘れてくれ」

落ち込んで去ろうとするボーデヴィッヒさんを簪と一緒に抱きしめて止める。

「が、家族の真似事程度なら出来る。もっとも、この歳で父親は勘弁してほしいから兄だけどな」

「私もお母さんはまだ早いからお姉ちゃんならいいよ」

背後から抱きしめているボーデヴィッヒさんが一度離してほしいというので、離してやるとオレ達に向かい合う。

「ほ、本当に良いのか。自分でも無茶を言ってるとは思ってるんだぞ」

「じゃあ止めようか?」

「い、いや、やめなくていい!!」

ボーデヴィッヒさんが顔を隠そうと抱きついてくるのを受け止めてしばらくしてから離す。甘やかせてやりたいが、その前に聞いておくことがいくつかある。


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