第二十一話 新生第五航空戦隊
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任務が飛び込もうとは思っていなかった鳳翔は不安だった。だが、迷っている時間はない。急がなくてはヤマト本土防空防衛を担う最新鋭艦娘、かけがえのない仲間が轟沈してしまう。
「直ちに出撃してください!」
鳳翔の声に艦娘たちは一斉に立ち上がった。
呉鎮守府ドック発着所――。
不安そうな視線を感じて、翔鶴は瑞鶴を見た。
「大丈夫よ。もう体は元通りだもの。心配しなくていいわ。ありがとう。」
「で、でも・・・・ごめん。翔鶴姉のことなのにね。どうしても不安に思ってしまうの。」
「私ってそんなに頼りない?」
少しすねた様に言ってみると、目の前の妹は慌てた様に顔を朱に染めた。
「え、え!?ううん、そんなことないわ!!ごめんなさい!!」
翔鶴はくすっと手を口に当てた。
「ごめんなさい。少しからかってしまったわ。でも、ありがとう。私なら大丈夫よ。あなたに付き合ってもらって、リハビリもやってきたし。それに・・・・。」
翔鶴は自分の胸に手を当てて目を伏せた。そして自分に言い聞かせるようにしっかりとした口ぶりで話し出した。
「いつまでも足を止めていたら、いつまでたっても前には進めないわ。それはあなたも、榛名さんも、紀伊さんも、皆ががっかりすることだもの。」
「翔鶴姉・・・。」
瑞鶴がぱあっと頬を紅潮させた。やはり翔鶴姉は強い、と瑞鶴は思う。おっとりしているけれど、このような大事の時には決して取り乱さないし、足を止めたりしない。
それに比べて、と瑞鶴は一瞬しゅんとなってしまった。日頃自分は強気でいるけれど、いざとなると大きく動揺するし、姉に寄り添ってばかりいる。これはいつだったか、以前加賀にも指摘されたことだった。その時は、やたらムカついてかっとなってしまったけれど、今そのことが思い出されると、加賀の指摘は間違っていないと思う。
第一航空戦隊のことを考えると、どうしても過剰に意識してしまうが、それはそれとして、加賀の言う通り自分は自分。翔鶴姉に寄り添ってばかりいないで、良い意味で自立できるようになりたいと瑞鶴はふと思った。もちろん、第五航空戦隊としていつまでもタッグを組んでいきたいという思いには変わらないが、せめて自分で考え、自分の足で歩いていきたいと。
「あ、そうそう翔鶴姉。」
自分の中で波だった様々な思いを打ち消すように、瑞鶴は明るく言った。
「なぁに?」
「こんな時に何だけれど、今まで私たちが扱ってきた艦載機って、零戦と九七艦攻と、九九艦爆だったでしょ。それが今度から新型艦載機を搭載できるようになったの。」
「本当!?」
「ん〜〜まぁ、その、紀伊の烈風隊や流星隊には負けるんだけれどね。搭載するのは天山、そして彗星よ。零戦も21型から52型に変わったわ。火力と速度はパワーアップしたの。あ、まぁちょっと旋回性能は低下したけれど。それと・・
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