第二十一話 新生第五航空戦隊
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第四章――
激闘の末沖ノ島攻略に成功したヤマトは、横須賀から沖ノ島に司令部を進出させ、ここを太平洋上の前線司令部とした。これにより、いよいよ深海棲艦との本格的な戦闘が行われることとなる。広大な太平洋は深海棲艦に制圧されて以来、ヤマトが足を踏み入れたことのない未知の海域だった。ヤマト海軍軍令部は沖ノ島周辺にイージス戦艦を中心とする大艦隊を展開させ、航路確保を図った。
むろん、沖ノ島攻略がヤマトの終着点ではない。目標はノース・ステイトとの通信回復であり、そのためには東進をつづけなくてはならないが、沖ノ島からはノース・ステイトは遠すぎた。ヤマト海軍軍令部は、次なる作戦目標を定めるために、広大な太平洋に偵察艦隊を派遣することとした。
呉鎮守府。執務室にて、提督のモノローグ――。
嫌だ。まったく嫌だ。どうにも嫌だ。沖ノ島攻略作戦が無事に完遂し、ヤマトが前線基地を建設して橋頭堡としたという話を聞いたときには盛り上がったのだが、そのテンションを叩き落とされる報告が三笠・・・じゃなかった、葵の奴から入ってきた。
一応士官学校の同期だという気安さからか、はたまた俺が奴の正体を知っているからか、奴は延々と1時間余り愚痴をこぼしていった。まぁ、かつての連合艦隊総旗艦も今じゃ一人の人間だっていうことなんだな。
『あんたこっちにいた時に何か爆弾仕込んでこなかった?』という失礼すぎる発言はともかくとして、今横須賀鎮守府の現状はとても険悪なのだという。尾張とかいう紀伊の妹のせいで、各艦種ごとにバルカン半島並の対立の火種が渦巻いていて、葵の奴でさえ鎮守府に近寄るのを嫌がっているという。
勘弁してくれ。せっかく艦種を越えた仲が売り物の呉鎮守府の奴らがそういう空気に当てられて変な気を起こさないかどうか、俺はそっちが心配だ。そう思ったが、それは心の中にとどめておいて、俺は奴の言葉に耳をずうっと傾け続けた。途中からは「ふり」だったけれどな。
一応全部吐き出してすっきりしたのか、開き直ったのかはわからなかったが、奴は最初の暗い顔を改めると、いつもの快活な顔を取り戻して礼を言い、新しい話をいきなりぶち込んできた。
『あ、そうそう。呉鎮守府にね、最新鋭艦娘が配属されることとなったわ。』
何だって!?その最新鋭娘とやらの話は聞いてない。藪から棒に何だ?いや、それよりもだ、奴が自分の鎮守府から戦力をただで割くわけがない。俺は奴の性格を知り尽くしている。何かしらきっと、そう、きっと裏がある。(きっぱり。)
『ところで、その代わりと言っちゃなんだけれどさ、忙しいところ悪いんだけれど、一つお願いがあるのよね。』
ほうらきた、やっぱりだ。
というか、艦娘を取引の道具に使うのはやめろ。(切実)
お前ももとは艦娘みたいなものだろうが。なんだ、お願いって
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ