人間と魔族
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第2話
人間と魔族。
「恐ろしいな…」少女は一人、小さく呟いた。彼女は左手首にある魔族の印を摩った。どうして自分は人間では無いのだろう?もう何度も思ったことだ。生まれた時から両親は居らず、代わりに与えられたのは暴力と苦しみだ。
沢山の人に育てられ、沢山の人に罵倒され、殴られた。
―生まれてきてごめんなさい―
家では殴られ、学校では苛められていた。でも誰も助けてくれなかった。自分が怪物だから。一度担任に相談したが、話も聞いてくれなかった。その日は更に激しく苛められた。何度も死のうと思った。こんな人生、捨ててしまおう…と。だが、出来なかった。自ら生を絶つのが恐いのだ。それに、自分に与えられた使命もある。それを果たさなくてはならない。数少ない友人達も応援してくれている。だから戦い続けた。何をされても、どんなことを言われてもただ黙って終わるのを待つ。いつしか少女は笑い方を忘れていた。もしかしたら感情すらもうないのかもしれない。今夜も殴られ、悪口雑言罵られた。「お前は怪物だ」「死んでしまえ」「その醜い顔を晒すな」数時間に渡っての拷問も終わり、ようやく解放してもらったが少女の小さな身体はもう虫の息だった。少し動かすだけで激痛が走る。しかしここに居てはまた殴られるので仕方なく、ボロボロの体を起こして自室に向かった。また明日が来ると思うと、少し落ち込んだが直ぐに心が晴れた。明日は教会があるのだ。彼女にとってあそこは唯一の安らぎ場所だった。誰にも白い目を向けられず、暴力も振るわれない場所。早速目覚ましをセットして、あっという間に眠りについた。
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朝。
私は目覚ましが鳴るよりも前に目が覚めた。こんな朝早くに目覚ましが鳴ると、後で何をされるか考えただけで冷や汗がでる。しかし、それでも目覚ましを掛ける理由は一種の危機感というもの。絶対に目覚ましが鳴る前に起きなければ。と思うと自然に脳が起こしてくれる。そうして、物音をたてずに用意をすますと、家を出て足早に教会へ向かった。
教会に着くと、もうかなりの人が居た。座る席もさほど無く、私は慌てて開いている席に着いた。隣には自分と同じくらいの少年がいたが、眠っているのか目を閉じていた。しかし、私が隣に座ると何やら視線を感じ、横を見ると案の定彼が私を見つめていた。何かようか?と問いかけると、彼は驚いた様に「僕が見えるの?」と、衝撃発言をしてきた。自分は魔族だが、幽霊が見えることはないので驚いて目を擦ったがまだ見えるので「見えるわよ」と答えたら、彼が慌てて意味の分からないことを言っていたが、どうやら彼は生きているらしい。本当は私が付けている眼帯が気になって見つめていたそうだ。私は少し眼帯を触り、猫に引っ掻かれたのだ。と、言っ
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