第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#20
DARK BLUE MOON? 〜Breathless Night Extreme〜
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衣型の防御系自在法のページを
無意識に開いていたのは、永年の経験に拠って染み着いた単なる躰の反射に過ぎない。
瞬く間すらも遙かに超越した速度で疾走った斬閃が、
炎衣の表面を削ぎ取りながらも損傷を無効化する。
だがしかし!
即座にソレと同等、否、ソレ以上の夥しい斬撃の嵐が
驀進の勢いと共にマージョリーに襲い掛かる。
「ぐ……ッ! うぅぅ……ッ!」
上下左右、更に斜交正面とありとあらゆる方向から射出され続ける斬撃に
躰を凝結され、美女は回避も転倒すらも出来ずその場に縫いつけられる。
「はあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁ――――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!!」
薄く狭まった視界で響き渡る少女の喊声。
まるで己が全精力をこの一点に捻じ絞るが如く
斬撃の廻転は更に上がっていく。
(この……私が……?)
信じられない、認めたくないという気持ちと共に纏った群青の衣にも欠損が生じ始め、
ソコから温かな真紅の雫が空間に繁吹く。
(この……私が……ッ!?)
今を以て在り得ない、 “敗北” という二文字が否応なく心中に刻まれる。
やがて柔質な感覚と共に構成を維持できなくなった炎の衣が残らず消し飛び、
タイトスーツが更に引き千切れ半裸に近い姿となったマージョリーは、
その折衝で大きく蹈鞴を踏み仰け反った。
「――ッッ!!」
無論その隙を見逃すシャナではない、というより最初から彼女の目的はソコ、
『仰け反らせる為にこそ』 有ったのだ。
傷つき崩れた体勢ながらも尚倒れるコトを拒否したマージョリーの、
グラつく視界に映ったモノ。
もう既に先刻の嵐撃と同時進行しながら、贄殿遮那内部に編み込んでいた存在の力。
刀身に 『火炎そのものでない』 熱気を宿し、
周囲にその狂暴なる灼光を迸らせる強靱無比なる閃熱の劫刃。
“贄殿遮那・煉獄ノ太刀”
スベテは、この一撃の為に。
相手の体勢を大きく崩し、必殺の絶刃で確実に討滅する為に。
ソノ最終形の前には、先刻の凄まじい驀進嵐撃すらもただの「布石」に過ぎない。
(そ、 “そんなモノ” で、挿されたら……ッ!)
最早己の躰を支えるのがやっとで、防御も回避も行えないマージョリーを劈く危局。
(死――ッッ!!)
創痍の身で震える口唇と共に見据えた少女の口唇にも、
冷然とした微笑が刻まれる。
「一応…… “同属” ……だし……ね……」
だったら何だ!? 苦しませず一想いに死なせてヤるとでも言うつもりか!?
絶体絶命の状況下により恐慌に陥ったマージョリーの前で、
シャナの手にした大刀がカラリと反転しその柄頭が美女の胸部下方へと強襲する。
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