第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#20
DARK BLUE MOON? 〜Breathless Night Extreme〜
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儀発動の瞬間にこちらの懐に飛び込まれたら終わり……
何とか力の消耗を最小限に抑えて相手の隙を造るしか……)
そこまで考えて、美女は意識していなかった、
戦闘に集中し過ぎて完全に 「盲点」 となっていた存在に眼を止めた。
「……」
自分達の標的であるラミーの傍らで、異界の神器を首から下げ、
射抜くような視線でこちらを見ている一人の勇壮な “男” に。
ソレを認めた刹那、マージョリーは背徳の微笑を血で濡れたルージュに浮かべる。
窮地に想わぬ僥倖が潜んでいた。
何故もっと早く気がつかなかったのか?
『戦闘に遣わないのなら』 フレイムヘイズがミステスを連れている理由など
『たったの一つ』 しかないというのに。
自分もそうであったように、この少女もまた例外ではない。
己は手に出来なかったモノを粉々に破壊できる倒錯した喜悦を悟られぬよう、
マージョリーは眼前のシャナに視線を戻した。
(フッ……小娘のくせに、大した上玉咥え込んでるじゃないの……
自分の “男” の前だからリスクを厭わず常に背水の陣を 『覚悟』 し
ソレで存在の力を増大させてたってワケ……)
少女の変貌振りの源泉を見透かしたマージョリーは、
心中で呟きながらも両腕を掲げ、再び焔儀発動の構えを執る。
シャナはその発動の刹那、一瞬の隙を突く為全身の神経を
針のように研ぎ澄ませる。
(でも……長所と短所は表裏一体……アンタに力を与えているその存在が
「弱点」だというコトは盲点だったようね……戦場で敵が攻撃するのは
何も対峙している自分自身だけとは限らないのよ……)
ドス黒い憎悪が生み出す狂気の視線で、
マージョリーはシャナからは視線を逸らさず瞬時に両手に集めていた炎気を消し、
右手を己の死角に撃ち出す。
(“その男” が……! アンタ最大の「弱点」よ……ッ!)
一切瞳を動かす事なく、経験と勘のみで射出された無数の蒼い炎弾は、
そのスベテが微塵の誤差もない精密性で 「標的」 へと襲い掛かる。
彼女の明察は、概ね正解。
事実、自分が標的へと定めた青年とほんの僅か心が擦れ違っただけで、
少女は本来の力を著しく減退させた。
ただ、一つの誤算、は……
『オッッッッッッッッッラアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ
ァァァァァァァァ――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!』
その 「弱点」 が、他の “ミステス” 等足下にも及ばない、
紅世の王すらも凌ぐ強大な 『能力』 を携えていたというコトだけだ。
隣にいるラミーも同時に撃ち滅ぼそうとしていた蒼き炎弾の嵐は、
その能力が発現した瞬間に迸った光と巻き起こった旋風に
スベテ明後日の方向へと
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