第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#20
DARK BLUE MOON? 〜Breathless Night Extreme〜
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まれた鉄骨も飴細工のように融解して捻じ折れ、
足下の強化ガラスにも夥しい亀裂が走った。
構造の重心が著しく切り替わった為、グラグラと不安定に揺れる足場。
「終わった……か……」
その後に吹き荒ぶ破滅の戦風に痩身を包まれ、
自分達の直前にまで走ってきた亀裂を
ステッキの先で確かめながら老紳士が呟く。
ラミーがそう判断するのも無理はない、
先刻の一合で美術館の一画が、
その下の階層も含めて跡形もなく吹き飛んだのだから。
正拳を突き出した少女の眼前に巨大な焼煙が茫々と立ち籠め、
開けた空間から外の風景が剥き出しになり、
封絶の放つ蒼き火の粉と冷たい気流が入り込んで来ている。
「やれやれ、全くブッ飛んだスケールの判断と行動をするヤローだ。
相手の “業” までも利用して、テメーの炎の威力を上げようってんだからな。
想いつきはしてもフツーは実行しねぇ。
これから先、一体どんだけ成長するか解らねぇな」
荒涼とした空間に無頼の貴公子の美声が流れる。
継いでその胸元から荘厳な男の声。
「うむ。よもや “アノ法儀” までもこの場にて完遂させるとはな。
まだ尚早だとは想ったが、我の想像を超えてあの子は夙成してゆく。
或いは、過日の貴様と花京院の “業” が、余程腹に据えかねたのかもしれぬな」
「アン? 何でオレと花京院が出てくンだよ? 関係ねーだろ」
「む……あくまで忖度での話だ。深く詮索するでない」
シャナの想像を超える成長に想わず口が滑ってしまった
炎の魔神は厳格に己を諫める。
「ま、ともかく後ァブッ壊れた場所を元に戻して終いだな。いこうぜ」
「うむ」
アラストールを促し片手をポケットに突っ込んだまま
シャナの傍へと歩み寄ろうとする二人の男。
しかしその足は僅か数歩足らずで止まる事となる。
「マジ、か……?」
「まさか、な……」
各々そう呟き気流に霧散しつつある焼煙の中。
二人よりも早く近距離に在る少女は既にその存在に気づきつつある。
足下に突き立てた大太刀を再び正眼に構え、警戒心を切らしてはいない。
その刹那、薄くなった煙幕の向こう側から群青の牙が飛び出してきた。
「――ッッ!!」
咄嗟に身を翻し廻り込みながら避けた少女は、
そのまま大刀を腰下から斬り上げ魔獣の頭部を両断する。
「チッ……!」
中空に刎ね飛ばされたその首は宝具の特殊能力で掻き消える刹那、
忌々しそうに舌打ちした。
やがて、気流に捌ける焼煙の中から朧気に現れるシルエット。
不完全な形容だったとはいえ、3つの焔儀の集合体を直に喰らって尚立ち続ける
蒼炎のフレイムヘイズ 『弔詞の詠み手』 マージョリー・ドー
流石にダメージは受けたらしくその嬌艶なタイトスーツは
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