第47話
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とその隊で攻めて来ることを予期していた。
攻めに特化した将は御し易い。最終的に橋を攻略されたとしても、相応の痛手を与えられたはずだ。
だが、陽軍はその予想に反して顔良を投入した。
堅実な用兵術で知られる彼女は、橋で陽軍に少しでも多く被害を与えようとした魏軍にとって、厄介な存在だ。
しかし、堅実とは裏を返せば瞬発力の低さを意味している。
そこを突いて、堅牢な防衛線を構築し徐々に被害を与えようとしたのだが――……。
「この場面で、将として一皮剥けるとは……」
「時として人というのは、小さな理由から才に目覚めるものよ。
現に顔良には才も、その才を開花させるだけの努力もあった。
私達は偶然、英傑誕生の場に居合わせただけ。拍手くらいなら送ってもいいわ」
「……」
敵将の成長に動揺しないばかりか、口角を上げて賞賛する華琳。
その主の器量の大きさ、度量の広さを改めて間近で感じ、郭嘉は頬を紅く染める。
「陽軍に新たな英傑が生まれようとも、盤面に狂いはありません。
次なる一手でさらに磐石に仕上げて見せましょう!」
斗詩とその兵が橋を攻略、兵を安全に送り込むための拠点を幾つか構築した時それは起きた。
「きゃあ!」
後方の安全を確保し、このまま魏軍に攻撃を仕掛けようと歩を進めた斗詩達を、突如強い揺れが襲った。斗詩は慌てて大槌を杖代わりに体を支える。
「た、大変です顔良様! 我が歩兵隊の中心地に巨岩が!」
「な!? そんなまさか――」
恐る恐る前方の魏軍を見渡してみると、ソレが確認できた。
「投石機! ありえません!!」
魏軍の軍中、その中央付近に巨大な建造物が三つ、投石機だ。
それを見た陽軍は上から下まで、全ての人間が目を見開いた。
陽軍が橋落としの次に警戒していたのが投石機だ。
いくら大炎とは言え、自身の数倍もある巨石を受けて無事で居られるわけが無い。
虎の子の殲滅を避ける為、それを建造し運用できるであろう魏軍を見張らせたのだ。
しかし、陽軍が誇る数百人の物見達からは投石機の類を確認できなかった。
投石機は巨大な兵器だ。見晴らしの良い軍中に隠す術は無い。
だが、どこからともなく投石機は現れ、陽軍への奇襲に成功した。
「フフフ、彼の慌てる姿が目に浮かぶわ」
「流石の陽国も、これを察知する事は叶わなかったようですね」
これとは即ち、カラクリ式折り畳み投石機“なげるんデス”二号、三号、四号の事だ。
郭嘉から、敵軍から投石機を隠蔽する方法を相談されたカラクリに目が無い李典が、袁紹と顔合わせをした時に見かけた“折りたたみ式御輿”を参考に作り上げた物
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