第47話
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萎縮している兵士達を鼓舞せんと先行する。
あの時、斗詩は勇気の欠片を手にし、袁紹の言葉が背を押した。
そして、一度それが開花すれば――
「いけぇぇッッ! 斗詩!」
「――ッ、えーーーいッッ!!」
柵程度では彼女を止められない。
飛び出した彼女を狙い飛来する矢を、盾で受け大槌で掃いのける。
そして柵の前に到着しすると、場違いな可愛らしい掛声と共に柵が吹き飛んだ。
「よっしゃぁッッ。さすが斗詩、あたいと麗覇様の嫁!」
「……」
「複雑そうな表情ですね、お兄さん。嬉しさ半分、寂しさ半分といったところでしょうか〜?」
「バ、バーロー。ちがわい!」
図星である。
今までの袁紹は、斗詩に対してどこか過保護な側面があった。
無理も無い。この世界に生を受けてから、彼の女性に対する認識が“武人”となったのだから。
そんな中で一歩引いた立ち位置を良しとし、女性らしい仕草の斗詩に出会ったのだ。
言わば彼女は“守ってあげたくなる系女子”である。庇護欲に駆られるのも当然と言えた。
今回の任に対してもそうだ。袁紹は斗詩に橋攻略の力があると確信しておきながら、指揮を後方で執るようにと命じた。言葉で背を押した当人が、庇護欲で彼女の成長を妨げていたのである。
そんな斗詩が、袁紹の庇護から飛び出し英傑として開花する。
君主として喜ぶ以上に、男として寂しさを感じるのだ。
「その成長を偽り無く祝うことも、男としての器量かと」
「……で、あるな!」
彼の中に生まれた寂しさは瞬時に霧散した。
そもそも、斗詩が成長した所で二人の関係が変わるわけではない。
寧ろ一歩退いていた彼女が前に出たおかげで、二人の距離はより近くなったのだ。
これを祝う事が出来ないのであれば、君主である以前に男として失格だ。
そう悟った袁紹は、曇りの無い瞳で斗詩の雄姿を視界に納め続けた。
魏軍では、物見の高台から郭嘉が全体の指揮を執っていた。
「柵は全て破壊されました。現在、我が軍の歩兵部隊と交戦中!」
「陽軍が拠点を構築中です。敵歩兵が邪魔で阻止できません!」
「郭嘉様、大橋から敵軍が殺到してきます!」
「橋防衛に付いていた弓兵を下がらせてください。騎馬隊はその援護を、それから――」
橋を攻略されること事態は予定調和。予め用意された策の進行段階の一つにすぎない。
しかし、郭嘉の表情は晴れなかった。
「少し予定が狂ったわね、稟」
「はい、まさか顔良さんで来るとは……。そして、彼女がこんなに早く橋を攻略するとは思いもしませんでした」
郭嘉の予定では、大炎を温存して猪々子
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