第47話
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ても壊滅する」
「クソッ、数で勝っていると言っても橋の先じゃあ……」
「ああ、俺達は不利な地で戦う事になる」
陽軍と魏軍の戦力差が圧倒的なだけに、陽軍の一般歩兵達はどこか浮き足立っていた。
彼らにとってこの戦は勝ち戦。生きる死ぬを考えず、どこまで戦果を――と、楽観視していたのだ。
そんな胸中の彼等に危険な任が降りた。顔良軍に配属された者達は貧乏くじを引かされた気分だ。
その気持ちは斗詩にも痛いほど良くわかる。だからこそ、その解決方法も。
「それでは皆さん。これから橋を渡って拠点構築及び防衛を行います。
私に付いて来て下さい、出陣!」
『へ?』
あっけにとられている歩兵達を他所に、斗詩は馬を下りて走り出す。
罠の事を考慮して、後方で指揮を取るよう言われているというのに――
「しょ、将軍に続けぇぇッッ!」
慌てて歩兵達が走り出す、その顔に恐怖は無かった。
「……フフ」
それを見て斗詩は、考えがあたったことを確信した。
思い出すのは親友、猪々子のこと。
いじめっ子に泣かされたとき。
乱暴者に絡まれたとき。
賊に襲われたとき。
親友である彼女は、いつも震える私の前に出て戦ってくれた。
それに手を引かれ鼓舞されるように、私も前に出ることが出来た。
その時の私は―――震えることすら忘れていた。
そう、萎縮した歩兵達に必要なのは将の背中だった。
安全圏で一方的に命令するのではなく、同じ視点で前線に臨む将。
彼女一人いるだけで―――
『オオオオオォォォォーーーーーッッッッ!!』
どこまでも戦意が上がるのだ。
「あわわ、大丈夫かな斗詩ぃ……」
「……」
橋を疾走していく斗詩を見て、猪々子はわかり易く慌て。
袁紹は口を閉ざし静観していた。
表情はいつも通りだが、その心中は穏やかではない。
拳に力をこめ、御輿に飛び乗るのを我慢している。
これがどこぞの覇王であれば、涼しい顔で将の雄姿を見届けるだろう。
総大将としてまだまだ彼女に及ばない――と、血の滲む拳を見ながら袁紹は自嘲した。
袁紹達が心配そうに見守る中、斗詩達は橋の中腹を通り過ぎた。
「! 矢が来ます、密集陣形!!」
『応!』
そんな彼女達に、数千にも届くであろう矢の雨が降り注ぐ。
斗詩達は身体を寄り添って密集し、円盤の鉄盾を頭上に掲げ大きな傘を作り衝撃に備える。
一方向の防御にのみ特化させた、擬似ファランクスだ。
「うおお、豪雨だぜ豪雨。なかなか降り止まねぇ!」
「だがさすが袁陽製の鉄盾だ。びくともしない」
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