第47話
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大河を挟んだ両軍の睨み合いのあと、袁紹は軍師達と共に軍議を開いた。
内容は明日の作戦についてである。
「大河と私達がいる地を結んでいる橋は一つ。大き目ですが、送り込める人数が限られています」
「恐らく魏軍は自陣側の橋の手前で横陣を組むわ。渡る陽軍を狙って迎撃するなら、橋での戦に限り数の優位性が逆転するもの」
「芸の無い迎撃策ですが、それだけに一定の戦果を望めますね〜」
「正攻法での突破は被害が大きいのです! 後、気になるのは――」
「大炎に対してどんな対策を用意してあるか……だな」
袁紹の言葉に軍師達が頷く。
「たとえ橋の先で数の優位性を得ようとも、大炎に騎突を許せば――」
「横陣は崩れ、我が軍が殺到するな」
「魏軍もそれは承知のはず。大炎を封じる何かを用意していると見て、間違いないでしょう」
「いずれにしろ、明日は様子見からか」
言って、袁紹は先鋒を任せる将を思い浮かべる。
何が待ち受けているかわからない危険な任務だが、彼女であれば問題ないはずだ。
「それで私ですか。う〜、大役にも程がありますよう……」
明朝、日が昇り始めた頃。先鋒を託された斗詩が半べそで馬に跨っていた。
袁陽は人材の宝庫である。そんな名将揃いの中なぜ自分なのか……。
緊張から手綱を握る手が震える斗詩だったが、袁紹の選別に間違いは無い。
陽軍の武将は、恋や猪々子を始め攻めに傾倒した者が多い。
攻守優れる星は補給地点の防衛にあたっている。今回は様子見の為、臨機応変に動ける将が理想なのだ。
そう言った意味では白蓮に任せる手もあったが、彼女の新兵科はこの任に向かない。
故に斗詩へ白羽の矢が立ったのだ。
斗詩の用兵術は堅実で理に適っている。兵に無理をさせないため被害も少ない。
爆発的な力は無いが、一定の戦果を生み出すことが出来る。
今回のような様子見にはうってつけな将だ。
断じて消去法で選別したわけではない。消去法で選別したわけではないのだ!
「……よし!」
斗詩は覚悟を決め、並ばせた歩兵達の前に出る。
――いけない、みんな萎縮しちゃってる!
橋攻略を任された歩兵達は自ずと勘付いていた。自分達が、罠の有無を確かめる隊であると。
橋を落とせば渡河は困難になる。魏軍としては橋が無いほうが守り易いはずだ。
それなのに橋は健在。罠の類を疑わない方がどうかしている。
行軍中に橋を落とされるか。そうでなくとも、渡った先には敵の大群が控えている。
飛来する数千、数万の矢。騎馬隊による容赦ない波状攻撃。
それらに晒されながら、後に続く隊の為に拠点を構築する。
「無理だ……渡れたとし
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