外伝〜それでも僕は〜
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「……でもキーア……ロイドにそんな風にしてもらう資格なんてない………だって……だってキーアは……」
すぐに辛そうな表情になった。
「キーア、それは違う。生まれがどうであろうと―――」
ロイドは真剣な表情でキーアの言葉を否定しようとしたが
「ちがわないよう!」
キーアは涙を流して叫んでロイドに続きを言わせなかった。
「キーアは本物の人間じゃないし、心や魂だって本物じゃない……!そんな風に優しくしてもらえる、守ってもらえる資格なんてなかった!それなのに……それなのにキーアは……ッ!う、ううっ………!」
キーアは泣き叫んだ後顔を俯かせて声を殺して泣き続けた。
「…………………」
キーアの様子を見たロイドは考え込んだ後キーアの隣に座った。
「―――なあ、キーア。キーアが俺達の所に来てから半年以上経って………どれだけの幸せを俺達にくれたと思う?」
「…………………」
「多分それはキーアが感じた幸せと同じか、それ以上だと思う。キーアはさ………俺達といて楽しくなかったのか?」
「楽しかった……!すごく……シアワセだった……!でもそれは……ロイド達がそう感じるようにキーアが仕向けただけかもしれない!大切なみんなの心を操っていただけかもしれない!そんなのって………そんなのって………」
「…………………」
自分の問いかけに答えた後顔を再び俯かせて泣き続けているキーアは真剣な表情で黙って見つめ
「こら。」
片手をポンとキーアの頭に置いた。
「あのな……きっかけはどうかは知らないよ。俺達には操られた実感も無いし、それに、そんな風にだったら別に操られたって構わないと思う。仔猫や赤ちゃんだって無条件に愛らしくて守りたくなる存在だろう?キーアのそうした”力”だってせいぜいその程度じゃないのか?」
「…………ぁ………………………………」
優しげな微笑みを浮かべて言ったロイドの話を聞いたキーアは呆けてロイドを見つめ
「そして、俺達の過ごした時間はそんな”力”なんかじゃ測れない。俺と一緒に、料理の練習をしたり同じベッドで寝て寝坊した事。エリィと一緒に本を読んだり、みんなの洗濯物を屋上に干したこと。ティオと一緒に掃除をしたり、みっしぃの限定グッズを買った事。ランディと一緒にポーカーをしたり、露店街に買い出しに行った事。セティ達とアクセサリーを作ったり、エルファティシアさん達に異世界の様々な事を聞いた事。課長と洗い物をしたり、ツァイトたちと昼寝をしたこと。――――それが”嘘”だったなんて本当にキーアは思うのか?」
「……それ……は…………」
ロイドの問いかけにキーアは考え
「……嘘じゃ……ないと思う。」
やがて首を横に振って答え
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