ターン55 科学水龍と神の雷
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僕や明日香が言葉を失ったのも、無理はないと思う。あれからブルーベレーの皆さん、そしてクロノス教諭という多大な犠牲を払いながらもなんとかゾンビ生徒たちを潜り抜けテニスコートにたどり着いた僕たち。そこでツバインシュタイン博士の指示に従いデュエルエナジーを発生させるためのデュエル……向こうの世界からはヘルカイザー、こちらからはヨハンが出ることを決め、たまたまナポレオン教頭がアカデミアに借り受けていたデュエルシステムの機械を使っての史上初の試み、次元を隔ててのデュエルが行われようとしていた。お互いにデュエルの準備もしっかり完了し、広いスペースが必要だから、とかそんな程度の理由でドーム状の屋根を開いて……その結果、すでに解放された3幻魔のうち三沢のところに居るウリアを除く2体、ラビエルとハモンの実体化した姿をばっちり見上げることになっていた。
「こっちはもうデュエルするだけだってのに……!」
ヨハンの声には早く元いた世界に帰りたい、という焦りや初めて見る3幻魔への畏怖の他にも、ずっと待ち望んでいたレインボー・ドラゴンをまだこの手にできないのかという苛立ちが見え隠れしている気がする。まったく、こんな時でもデュエル馬鹿ってのはこうだから困ったものだ。
よく見ると3幻魔の足元には、左腕が怪物のような奇妙な形になっているマルタンがいる。そのマルタンと僕らの目が合うと、何事か頭上のラビエルとハモンに向かって話しかけた。すると2体の幻魔がそれに頷いてそれぞれ青と黄色のエネルギーの塊を放出し、それがかわす間もなく僕らの目の前まで来て光と同じ色のマントをつけた人型の悪魔……幻魔の殉教者、と呼ばれる姿になる。そのうちの1体、ラビエルの放った青マントの殉教者が口を開いた。
「久しぶり、だな。遊野清明」
「ああ、まったくだね。もう2度と会うことはないと思ってたんだけど?」
忘れもしない1年の最後、セブンスターズとの戦いに始まった闇のデュエルの日々、そしてその締めくくりとなったラビエルとの死闘の記憶が甦る。思えばあの時も、こうして殉教者の姿を取ったラビエルとデュエルしたんだっけか。
「私がその名を覚えた人間は、お前ただ1人だけだ。光栄に思うがいい」
「そりゃどうも、だ」
あっちはそう言うが、僕にとってもラビエルの名前は忘れられない。なにせあのデュエルは僕にとって初めての、最終的に勝利できなかった闇のデュエルだ。チャクチャルさんの力をもってしてさえ、あの時の僕には引き分けるだけで精一杯だった。その結果魂を抜かれたはずの僕が、なぜこうして今を生きているのか……ユーノもチャクチャルさんも何も教えてくれないけど、なんとなくあの2人が何かしてくれたような記憶がおぼろげながらある。
「我々がこうして解放されたのは、お前たちのやろうとしていることを止
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