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立ち上がる猛牛
プロローグその一
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に就任しここでも偶然が重なりだ。監督になったのだ。
 阪急においての西本は猛練習と厳しくかつ合理的な指導、サーキットトレーニングまで取り入れそのうえでだ。チームを鍛え上げ有望な若手を育てていってだ。阪急を強豪に育てた。
 そうして五度もシリーズに出場したが当時は読売ジャイアンツの極盛時だった。それではとてもだった。
 シリーズ制覇、即ち日本一は適わなかった。五度もシリーズに出てもそれでも一度も日本一になれなかったのだ。だがその中でもだ。 
 西本は選手達を育てていた。足立光宏、長池徳士、高井保弘、福本豊、加藤秀治、今井雄太郎、そして山田久志。こうした名選手達を育てあげたのだ。その育成手腕も見事だった。
 しかもその選手達から心から慕われる人物でもあった。西本は確かに厳しい。鉄拳制裁も辞さない。炎の様に恐ろしい人物であった。しかし同時にだ。
 彼は選手を、努力している人間を決して見捨てない男でもあった。死力を尽くしてプレイしそれでも武運拙く敗れた選手達をベンチで出迎えても怒ることはなかった。
 日本シリーズでも同じだ。昭和四十六年日本シリーズ第三戦、王貞治に逆転サヨナラスリーランを浴びマウンドに蹲る山田を一人迎えに言った。そのうえで泣いて謝る山田に一言言ったのだ。
「ご苦労さん」
 こう言って山田を連れて戻ったのだ。こうしたこともあった。西本は人の心も知る真の意味での名将だったのだ。だがその西本もだ。フロント側の意向によりユニフォームを脱ぐことが決まったという噂が流れていたのだ。
 その噂を聞いてだ。記者達もファン達もあれこれと話をした。
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