第49話 演技
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えるチャクラ糸だった。
「大丈夫か?」
「サソリ君」
ヘタリと座り込んでいる木山の手を掴んで立たせた。
「遅くなった。こっちの方が戦局としてマズイ所だった。すまない」
「いや、謝るほどでは」
「教え子については、何か分かったか?」
「いや......邪魔が入ってな」
「そのようだな」
すると、壁に押し当てられていた木の分身を破壊するように緑色の光がサソリ達に向けて一筋の光線となって進んできた。
「!?」
反応したサソリは、瞬時に木山を脇に抱えると後方に飛び上がり、着地をした。
煙が棚引く壁の穴からゆっくりとした足取りで身体の半分が黒い物体に覆われた茶色の長い髪をした女性が悠然とぎこちなく揺らしなが潜ってきた。
「久シブリダナ、サソリ」
ニタァ〜とネバネバした口を耳まで裂けて、余裕の笑みを浮かべている。
「......貴様は、その身体は?」
「ククク、使エソウナ身体ダッタカラナ」
「そういう能力か......悪趣味な術を」
既に正体を無くした麦野は虚ろな眼で黒ゼツの黒くネバネバした身体に支配されていた。
サソリに抱えられている木山を見つけると耳まで口を裂けて、笑いだした。
「木山モカ......トックニ死ンダカト」
木山の脳裏に忌まわしい記憶が呼び起こされた。
あの時に、実験の説明をした『協力者』という奇妙な存在。
身体の半身は女性であるが、半分を占める黒い塊の黄色く光る眼は忘れることは出来なかった。
それに身体を使えそうだから、乗り移ったという事か......
木山は唇を噛み締めた。
まただ、またしてもこのような子供が犠牲となる
「......知ッテイルゾ......ガキ共ノ安否ガ知リタイヨウダナ......ナラバ此方ニ来イ」
「!?」
黒ゼツの思わぬ行動に木山とサソリは目を丸くした。
「ぶ、無事なのか!?」
気付いたら、木山は前のめりで質問していた。
安否だけでもなんとか......という気持ちだ。
「無事ダ......意識ハ無クシテイルガナ。木山......オマエノ隣ニイルノガドウイウ奴カ教エテヤロウ......ソイツハ人殺シダ」
「オイラ達は研究者に敬意を払っているっす。なんなら子供達の快復させるように働き掛けてもいいっすよ」
「此方ニ来レバ、オマエノ要望ヲ聞イテヤロウ......サア」
手を伸ばして、勧誘をする黒ゼツとトビに木山は考えるような素振りを見せた。
何かを悩むように考え事をしている。
「.......」
「惑わされるな......木山」
マズイと思ったサソリは、木山に声を掛けた。
揺れている。このままではゼツの思い通りになってしまう。
「オレ達ハ学園都市ヲ管轄シテイル......ドチラニ付イタ方ガ得カナ?」
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