第三十四話 あちこちでその十一
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「色々な人とも出会えるし」
「そうなんですね」
「それでその修養科でようぼくになって」
「それ高校卒業してもですよね」
阿波野君はこのことはすぐに言ってきました。
「天理高校とか」
「ええ、三年になってね」
「卒業したらですね」
「十回位お話聞かせてもらって」
おぢばで天理教のお話を聞かせてもらうのです。
「それで卒業間近にね」
「ようぼくですか」
「ならせて頂くの」
「高校を卒業する時に」
「時期は大体同じね」
「そうなんですね、卒業っていうと」
阿波野君は私の横でひのきしんをしながら遠い目になって言いました。
「大分先ですね」
「そう思うわよね」
「三年ですから」
「ええ、私もそうした気持ちだったわ」
入学して阿波野君と同じ時期はです。
「普通にね」
「そうですよね」
「ええ、けれどもうよ」
「三年生ですか」
「そうなの」
ここで床は坂道になりました。神殿の回廊が下のところが人が潜って通る場所になっているので上がっているのです。
「今はね」
「あっという間ですか」
「いえ、最初は一日一日が長かったの」
入学して寮に入ってからはです。
「そうだったのよ」
「長かったんですね」
「入学して」
私は一年生のあの時のことを思い出しました、入学してお母さんと一緒に黒門を通ってそして寮に入って。
「一人で寂しいって思ったし」
「慣れないことばかりで」
「そうなの」
その通りという返事でした。
「本当に長かったわ」
「一日一日が」
「暫くはね、けれどね」
「時間が経つと」
「そう、普通にね」
その一日がです。
「感じる様になっていったの」
「大体どの位で」
「ゴールデンウィークまでには?」
本当にその頃位にはでした。
「普通になってたわ」
「そうですか」
「ただ。ゴールデンウィークの後はすぐに忙しくなったわ」
「テストですね」
「中間テストでね」
天理高校も学校なのでこうしたものはあります、期末テストも勿論あります。
「それでなのよ」
「じゃあ忙しくなって」
「そう、もうね」
気がはやってといいますか、でした。
「一日が早くなったのよ」
「入学したばかりの時よりも」
「ええ、そこからどんどん一日が早くなって」
「気付けば僕と一緒にいるんですね」
「そうよ、あれっ?」
ここで私は阿波野君の言葉に頭の中でクエスチョンマークが出来ました、それで阿波野君にすぐに問い返しました。
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