巻ノ五十五 沼田攻めその十四
[8]前話 [2]次話
「敵か!?」
「敵襲か!?」
「上田から来たのか」
「そうなのか!?」
皆戸惑い何とか陣を整えようとする、しかし。
そこにも十勇士達の攻撃が来る、霧の中で十人の猛者達の攻撃を受け忽ちのうちに大混乱に陥った。
それを見てだ、幸村は満足した声で言った。
「見事じゃ」
「流石は十勇士の方々ですな」
「恐ろしい戦いぶりです」
「城を囲んでいた北条の兵達が浮き足立っています」
「混乱しております」
「では殿」
「今じゃ」
幸村は己が控えている兵達に応えた。
「ここで攻めるぞ」
「ではこれより」
「攻めましょうぞ」
「鬨の声をあげよ」
ここでとだ、幸村は命じた。
「それもこれ以上ないまでに大きくな」
「混乱する敵にですか」
「あえて大きな声をかけ」
「そして混乱にさらに拍車をかけさせる」
「そうするのですな」
「そうじゃ、敵をこれ以上はないまでに乱せ」
まさにというのだ。
「そしてそこに攻めればな」
「我等の勝ちは疑いなし」
「そうなりますな」
「ではこれより」
「一気に」
「そうじゃ、突撃でよ」
鬨の声を挙げたうえでとだ、こう命じてだった。
幸村は自ら先頭に立ち二本槍を手に駆け出した、そこに真田の兵達の法螺貝と鬨の声があがり。
兵達も続いた、その声を聞いてだった。
十勇士達に攻められている北条の兵達はさらに戸惑った、実際に北条の兵達は幸村の兵達にも攻められ散々に倒されている、そこに霧の中で何処からかこうした声がした。
「敵じゃ!」
「真田の兵が来たぞ!」
「何千といるぞ!」
「城からもうって出たぞ!」
次から次に声がきた、そして。
その声を聞いてだ、北条の兵達はさらに狼狽し。
どうしていいかわからなくなった、そこにだった。
「退け!」
「退くのじゃ!」
「城の囲みをとけ!」
「この城から去れ!」
「帰るのじゃ!」
こうした声にだ、多くの者は疑わず。
一気に退きだした、そこにだった。
幸村は兵達にだ、今度はこう命じた。
「よいか、今度はじゃ」
「追撃ですな」
「そうしてですな」
「敵を徹底的に叩く」
「そうするのですな」
「そうじゃ、今は攻めておるが」
それに加えてというのだ。
「そこにじゃ」
「さらにですな」
「攻めて敵を倒しですな」
「沼田に二度と攻められぬ様にしますか」
「そうじゃ、拙者がいいというまで攻めよ」
まさにというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ