好き勝手
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状態にみえたがそうではない。
対峙しているだけで刻一刻と小太刀の男の敗北に近づく。理由は赤い戦士から来る恐ろしいプレッシャー。その場で対峙しているだけで灼熱の砂漠に放り出された様に体力が減っていく。男の顔には玉の汗が幾つも出て流れ落ちた。
(何でこんな化け物が居るんだ!この威圧感!……本気の父さんと比べても上か)
男は赤い戦士の威圧感にただ少しの間対峙しただけなのに、感じるのはまるで海と戦おうと思ってる様な絶対的な敗北の予感。
突入してからまだ4秒足らず。
赤い戦士は新たな侵入者4人が人数は少ないが先程の男達より少し厄介だと判断した。
それに今は背中に巻き込めない二人が居る。
赤い戦士は4人を早々に倒そうと、コンクリートの床を踏み抜くほどの力で地面を蹴った。
「消えた!」
4人が聞いたのは床を蹴った爆音、そして……
「おねぇちゃん!?」
ほぼ同時のすずかの叫び。
叫びを聞いた赤い戦士は瞬時にズガガガガ!!っと足で地面のコンクリートを削り止まった。
「なっ!?」
小太刀を構えた男は戦慄した。男が見たのは正面に居た筈なのに自分の側面から襲おうとしている赤い戦士の姿。赤い戦士の足元に有るのは床を破壊するほどの急停止の痕跡。もしすずかの叫びが無ければ気付く間もなく攻撃を受けていただろう。
男は攻撃を止めた赤い戦士に剣を振るおうとした。これは反射的にだ。
赤い戦士は振られる小太刀の中心を槍で軽く薙いだ。
「グゥア!」ガキン!!!
赤い戦士の片手だけの攻撃、だがまるで巨大な鉄球で殴られた様な衝撃を男は味わう。衝撃で男の体は宙に飛んだ。
ドン!
「ガァア!」
男は壁にぶつかるまで飛ばされ落ちたが耐え両足で立つ。だがフラついている。素人目にも大きなダメー ジを受けてる事が判る。特に深刻なのは腕、腕は刀を手放していなかったが、一撃で腕の感覚の大半を無くしている。
(腕が!これだとマトモに振れない!)
剣士が動かせない程に腕をやられる。立っては居るが勝負は決まっていた。
だが男は更に気迫を増しまだ戦えるとばかりに赤い戦士を睨む。
「恭也!大丈夫!」
「……俺が時間を稼ぐ。皆は逃げろ!」
チョットマッテチガウヨ!
赤い戦士には四人で掛かっても勝てないと踏んだ男、恭也はそう言う。辛うじて刀を持ってるだけの剣士が時間稼ぎ、恭也の目は覚悟を決めていた。
「恭也!」
忍は恭也の覚悟に悲鳴染みた怒声を上げた。
「今の恭也様お一人では時間稼ぎも無理です。お手伝いします」
「私もやります!忍お嬢様!」
「ふ、二人まで!」
ダカラマッテ!
「二人ともすまない、忍俺達が足留めする。あの二人を連れて逃げてくれ」
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