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百人一首
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第七十七首

                第七十七首  崇徳院
 激しい思いはまさに激流だった。
 どうにもならないまでに狂おしい気持ちに心を支配されてしまって。
 この気持ちは自分でもどうしようもなくなってしまっていた。
 けれど激流は岩にせき止められるのと同じで。自分のこの気持ちも今はせき止められてしまっている。そうでもしなければ止まりはしなかっただろう。
 今は二人は別れてしまっている。このことはもうどうしようもない。別れてしまっているのは確かでそのことをどうこうすることは自分にもあの人にもできはしない。
 けれどそれでも。運命は変わりそうして再会というものがあるのだから。
 滝川の水が再び出会ってそうしてまた一つの流れになるように。そうしてまた巡り会うように。
 あの人との恋を貫こう。今は別れ別れになってしまっていてもそれでも。この恋が再び一つになることを信じてそれで。今は願おう。
 この気持ちを歌にすることにした。この歌を心の支えにしたいから。だから詠うことにしたのだった。この気持ちを詠うことにした。

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢わむとぞ思ふ

 詠って今はそれを心の支えにすることにした。何時か再び巡り会うその日の為に。心が変わってしまってあの人とまた巡り会うことを悲しんではいけないように。だから今はこの歌を詠うことにした。歌は何時までも残って心に刻まれるものだから。今は詠うことにした。この気持ちを。


第七十七首   完


                2009・3・23

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