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第五十三話 長旅は退屈なのです。
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から。保証はできませんわ。」
「・・・・・・・。」
「ヤン閣下。」
シャロンがヤンを見た。
「あなたが私に対してどういう感情をお持ちになっているかは重々わかっています。『得体のしれない人。』そう思っていらっしゃるでしょう?」
「それは――。」
ヤンは言葉に詰まった。いつからかはわからないが、シャロンが後に何か重大なことをしでかし、自分がそれと対峙するのではないか、そんなことを常々考えてしまっているのだ。原因はわからない。彼女と会話しているときに感じ取った無意識な何かがそうさせているのかもしれない。それを面と向かってシャロンに言ったことはないのだが、シャロンの方はヤンがどう思っているかを百も承知と言った顔である。
「いいのです。それは真実ですし、私はそれを偽るつもりもありませんから。ですが、それとこれとは別に、今これだけは言わせてください。あなたにはあなたにふさわしい伴侶が、かけがえのない伴侶が、きっと見つかりますわ。その時はその方をいつまでもずっと大切にしてあげてくださいね。」
シャロンの言葉は優しかった。それは魔術的なものではなく、普段のシャロンからは想像もできないのだが、とても真摯にあふれて率直なものであった。まるで親友を慰めているときのようである。ヤンは当惑そうに頭をかいた。こんなことを言われるとはまったく予想していなかったという顔である。
「どうして、そんなことが言えるんですか?それに、どうしてそんなことを言うんですか?」
「私は予言者ではありません。ですが、何となくわかる、そう申し上げておきます。そして後者の質問についてはこういった便利な言葉がありますわね。『それはそれ。これはこれ。』って。私の気持ちはそういう事です。」
「・・・・・・。」
「ほら、二人が待っていますわ。私たちも早くいかなくては。ラップさんとジェシカさんの結婚のお祝いをしましょう。」
うなずいたヤンはシャロンと共に幸せの絶頂にあるカップルのもとに歩き出した。もっともジェシカの方はその表情とは裏腹に何を思っているのかはヤンにはわからなかったが。



宇宙歴795年、帝国歴486年5月20日。それぞれの国、それぞれの組織は「帝国からの和平交渉の申し出」という新たな潮流に対して、それまで思いもしなかった選択を迫られることになる。その中で各人がどのような運命にさらされ、どのような働きをするか、確たる見通しができる者は転生者も含めて存在しなかったのである。

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