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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第539話】
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束に食い下がるスコール。


「そこを何とかお願いします」

「お断りしまーす。 あー、ケーキちょうだーい。 後ね、ハンバーグとカレーと冷やし中華」


 スペアリブにかじりつき、メニューを眺めて追加注文をする篠ノ之束――無論冷やし中華は地下レストランには存在しない。

 スコールは自身の髪を弄りながらため息を吐き――。


「ふう……。 どうしても、ですか?」

「うん。 君たちに作る義理はないもーん」

「ならば……これで少しは色好い返事を頂けると思うのですが」


 そう告げ、指を鳴らすと奥の天幕がするすると上がり、スポットライトがつけられ、舞台の中心を照らす。

 そこには拘束されたクロエとその首筋にナイフを当て、笑みを浮かべているオータムが居た。

 かじりついたスペアリブを皿の上に置く束に、スコールは腕組みしつつ言葉を紡ぐ。


「色好い返事を頂けないのであれば、この子鹿ちゃんのステーキを用意しますけど、如何かしら?」


 スコールはこれでISが手に入ると確信した、何故手元に自身の弱点となり得る少女を置くのかはわからなかったが、それによりコアとISが揃って手に入るなら――更に、このままコアの生産を続けさせれば、亡国機業を再び裏の世界の一番に――。


「……せ」

「はい?」


 何かを呟いた篠ノ之束に、スコールは聞き返すと笑顔を向けたまま言い放つ。


「離せ」


 そう告げた瞬間、テーブルの上に並べられていたナイフとフォーク全ての投擲がスコールを襲撃する。


「!?」


 咄嗟に部分展開し、払い除けるスコール――ふわりと舞う黒い影が、部分展開した装甲を踏みつけ、空中へと躍り出るや、天井を蹴り、オータムの懐に潜り込む篠ノ之束。


「ちぃっ!?」


 クロエの首筋に当てたナイフを振るうオータム、そこで束にではなくクロエに押し当てていれば要求も通った――だが、篠ノ之束の身のこなしが無意識に自身の防衛本能を働かせた。

 だが手首を折り曲げられ、振るったナイフの刃の先端が右肺に刺さる。


「かは――」


 呼吸が出来なくなった隙をつかれ、左肩から左胸、左腹部へと掌打を叩き込まれ、大きく蹴り飛ばされたオータムはワインセラーへと突っ込み、崩れ落ちる。


「くーちゃん、大丈夫かにゃー?」

「は、はい……束様」


 拘束具を素手で千切り、束は優しくクロエに微笑んだ。

 そしてその笑顔のままスコールへと視線を移す。


「あのねぇ、私ってば天才天才って言われちゃうけどねー、それって思考とか頭脳だけじゃないんだよー」


 クロエを後ろから抱き締めながらスコールに告げる。


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