第28話『漁夫の利』
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避けられない事態だと思うんだけど…」
この意見には賛成である。喧嘩の様に見えるけど、この競技はそういうものなんだから、仕方のないことなのだ。穏便に、だなんて生ぬるいことを言っている場合ではない。
「それはわかってる。だからこそ、できるだけ穏便に済ますの」
「穏便つったって、どうする気だよ?」
俺は彼女にそう問う。穏便な戦闘なんて、思い当たる節が無い。
「わかりませんか? 簡単ですよ・・・そう、ジャンケンです」
「「……」」
それを聞いた俺らは唖然とする。
勝手に乱入してきといて、ジャンケンをしろ、だ? 随分と甘ったれた言い分だ。
ったく、誰がそんなルールに乗るか・・・
「よし乗った。これならすぐに終わるね」
「はぁ?!」
俺は驚きの声を上げる。
こいつのことだから、もっと戦闘を楽しんでくるかと思ったのだが・・・
「あなたは?」
「……」
戸部に聞かれ、俺は戸惑う。
しかし、彼女がこのルールを承諾した以上、俺も承諾しないと話が進まないだろう。ええいままよ!
「1回勝負だ」
「望むところ」
彼女はニッコリとそう言うと、ジャンケンの構えに入る。俺も同じような構えをとった。
「「最初はグー、ジャンケン・・・」」
引き受けてやった以上、この勝負は負けられん。
パンチの欠けた勝負ではあるが、これで勝てば多少は気分も晴れるだろう。
幸いにも、ジャンケンは運ゲーだ。これなら俺にも勝機がある。行くぞ!
「「「ポン!!」」」
3人の声が揃い、3つの手が前に出される。
俺がグーで、彼女もグー。そしてもう一つの手が…パー。
・・・ちょっと待て、3人!?
「優菜ちゃん!?」
「何でお前もやってんだよ!?」
俺がそう言った相手は戸部。なぜかこいつもジャンケンに参加していたのだ。
本来の目的である、俺と彼女の勝負を蔑ろにしやがった。一体どういうつもりで?
「ふふ、すぐにわかりますよ」
彼女は不敵に笑った。
すぐにわかるっつっても、お前がジャンケンに参加して何が変わるんだ・・・よ・・・
「おい、ちょっと待てよ」
俺は血の気が引いた。それはある事に気づいたからだ。
ジャンケンの敗北。それはもしかして・・・
『暁 伸太郎、春風 莉奈。共に失格!』
そんな審判の声がどこからか聞こえた。たぶん放送だろう。
そうだよ。確かルールには『勝敗は審判が判断する』って書かれてた。つまり、“ジャンケンの負け”だって、審判が失格を宣言するには十分な材料なんだよ。
「嘘だろそんなの…」
「え、え、何で私たち
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