第28話『漁夫の利』
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「うわ〜これスカッとするねぇ」
「がはっ…」
「え? あぁごめんごめん。痛かった? でもしょうがないよね。これは戦争なんだし」
俺が腹を押さえながら痛みを堪えているのに対し、この女はそれを喜ぶかの様に気持ちの悪いくらいの笑みを浮かべていた。さすがにここまでされて黙っている程、俺は寛容な人間じゃない。彼女の拳は、俺の闘志に火をつけた。
「なら…こっちだって加減はしねぇぞ」
「いいよ、コテンパンに負かしてあげる」
俺の宣戦布告に、彼女は余裕の態度だ。
クソ、いくら女子相手といえど、こいつは俺より強い。それは今の拳でわかる。何か手はないのか・・・
「そっちが来ないならこっちから行くよ!」
「うぉっ!?」
俺が策を講じていると、彼女はそうはさせまいと飛び蹴りをかましてくる。正面からの攻撃なので、俺は身をひねって辛うじて避けた。
「もう一発!」
「ぐはっ!」
しかし、彼女は着地と同時に振り返りざまの蹴りを放つ。これにはさすがに反応できず、俺はまたもクリーンヒットしてしまった。無様に地面を転がり、冷たいコンクリートの床に這いつくばる。
「さて、こんなところかな。頭は良くても、運動ができないんじゃしょうがないよね」
「言って…くれるじゃねぇか…」
彼女は腰に手を当ててこちらを見つめてくる。だが、俺にだってプライドがあるのだ。女子にボコられて負かされるなど、黒歴史でしかない。せめて相打ちに・・・
「…へぇ〜まだ立つんだ。まぁ、これでへばってちゃつまらないもんね」
「はぁ…はぁ…」
「バテバテみたいだけど、こっちも手加減はできないよ。…次で決める」
「そりゃ…お互い様だぜ」
彼女が構えをとると同時に、俺は右手に炎を灯す。ここで魔術解禁だ。
彼女は突然の発火に驚く様子を見せたが、すぐに平静を取り戻す。適応力が高いのは厄介だな。
「どういうタネか知らないけど、見かけだましの炎じゃ私には勝てないよ」
「見かけだましかどうかは、その身で確かめるんだな!」
さぁ、ここからが本番だ。
*
「うわぁぁぁ!!!」
目の前に倒れたのは白い柔道着を着た男子。
中学生にしては立派な体躯ではあるが、それでも俺の電撃には無力だ。体格なんて関係なしに俺の電撃は対象の体を駆け巡り、麻痺させることができる。
つまりゴム人間でもない限り、俺には勝てねぇんだよ。
「ざっと2チーム分はやったかな。時間は30分しか経ってないし・・・良い調子か?」
さっきまでは色々計算しながらやってたが、そろそろ面倒になってくる。
そもそも倒した数に関しては運営がカウン
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