第11話 初めまして
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の西木野さんだったんですね」
この子がμ`sのライブで使う曲の作曲をして、先輩方から”西木野”と呼ばれていた女の子だったことにようやく気付く。
「え?そ、そうよ。私が西木野真姫だけど」
「名前...高坂先輩から伺っていましたから」
「...何話したのよ」
と言って、西木野さんは年上である高坂先輩をジッと睨む。敬語は使わないし年上や初対面である僕に対してすごい物言いだなと思う。そういうところは社会に出ると大変そうなところだけど、僕はあまり気にしないし、多分先輩も気にしていない様子だから深く考えずに適当に考えて、そのまま流した。
「と、特に変なことは話してないよ?ただ、私たちの曲を作ってくれた子がいるんだよ〜ってはるとくんに説明しただけなんだ」
「...はると、くん?」
西木野さんにとって初めて聞いた名前。
だから僕の名前を一度反芻して、目をパチクリした後に僕のほうへ視線を向ける。
透き通ったアメジストのような瞳が、印象に残った。
「はい、僕が。僕が春人です。高橋、春人」
「そう....」
それだけ言って西木野さんはくるりと身を翻して来た道を戻ろうとする。
そんなところを逃がすまいと。そんなことは考えていないと思うけど、高坂先輩は「待って!」と一言声をかけて西木野さんを呼び止める。
「はぁ...」と露骨な溜息を零して然も、めんどくさそうに振り返る。
めんどくさいならここに来なければ良かったのになぁと心の中で潜めながら。
「なんなんですか?」
「練習している姿、見に来てくれたんだね!」
「や、別にそんなつもりは───」
「あとね!西木野さんがくれた曲、私たちで歌ってみたんだ!よかったら聞いてほしいなぁって思って」
「は、はぁ!?なんで私が聞かなきゃならないのよ!イミワカンナイ!」
「まぁまぁいいからいいから」
否定して頑なにウォークマンを受け取らない西木野さんと、強引に聞かせようとする高坂先輩。
その相反した二人のやり取りが続く中、いつの間に来たのか。南先輩と園田先輩が後ろで僕たちを見ていた。
「い、いつの間に僕の後ろにいたんですか?」
「え?先ほどからずっと高橋くんの後ろにいましたけど...」
「そ、そうですか」
園田先輩のあっさりと、そう告げた。
まぁ、二人が背後に来ていることに気付かないくらい西木野さんと高坂先輩のやり取りに気を取られていたんだなと、適当に脳内で合理化して納得する。
「ぐっふふふ〜そりゃ〜!!!」
「ヴェェ!?ちょっ!何するのよ〜!!」
「うぇっへっへ〜。観念するのじゃ〜!ええじゃいかええじゃないか〜」
変な叫び声と変なし
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