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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 28
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、崖についての歓談さえも難しい。
 苦笑いと生温かい視線を浴びる中、一人でぶつぶつ呟く日々を受け入れるしかないとは……。
 「流行り廃りが著しい、使い捨ての風潮が憎い……っ」
 「どんなに好きでも、一ヶ月毎日毎食同じ物は食べられないもの。仕方ないでしょ」
 「ぐぬぅぅぅ……飽きに寛容な贅沢者共め! 質素倹約の大切さをもっと世界に広めなさいよ、アリア信徒!」
 「それ、ちょっと違う」
 「解ってて八つ当たりしてるの!」
 「信仰をダシにされても……。本当、困った娘ねぇ」
 神父の苦笑いに、浮き気味だった後頭部がかくりと落ち……
 「……ッ!?」
 顔上で鋭く光る銀色の物体と、それを持つ人物を目にして、硬直した。
 「な……なん、で……?」
 どうして此処に。いつから居たのか。
 金色の髪を後頭部で団子状に纏めた女性が、すらりと細長い剣を右手に構え。
 冴えた光を宿す群青色の眼差しで、地面に転がる二人を静かに見つめていた。

 「……ハウィス……」


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