暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
112話:全力を持って
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。だがそんな中でただ一人、はたと意識を現実に戻し腕を振るった人物がいた。


「―――何やってるんだお前達! あの二人を、全力で援護しろ!」


 ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐、その人である。


「し、しかし三佐…我々では手に」
「あぁそうだ、あれは手に負えねぇ代物だ。だが、だからといってここで指をくわえて見てるつもりか!」


 まともな考えならば、あの戦闘に手を出すなどという結論は出さない。
 だがゲンヤは飛び続ける者達にも、バリケードの後ろで待っていた者達にも、大きなげきを飛ばした。


「ここであの化け物を止められなかったら、この後はどうなる? あの怪物がここを突破すれば、地上本部は勿論、居住区に澄んでいるミッドの人達の下へ向かうことになる!」
「「「「「ッ!」」」」」
「そうだ、何の非もない人達を、あの化け物が襲うことになるんだ! そんな事…許していい訳がない!」


 そう、この防衛線の先には守るべきものがある。その為に自分達がここにいて、戦っていたのだ。
 ゲンヤにも、守りたい者達がいる。友人や同僚、そして家族が。ただ今のような状況程、自分に戦う力がないことを悔やまれる。戦力にならない自分に、怒りすら覚える。

 だが、できないことを悔やんでも仕方がない。
 今自分ができること―――自分にしかできないことをする。


「別に戦わない奴になんかいいたい訳じゃない。俺だって戦いたいが、力がない。勇気のある奴だけでいい。
 ―――だがここでの戦いは、俺達だけの問題じゃない! この先で生きる人達の、ミッドの運命がかかってるんだ!」


 とてつもない脅威が存在する、それは紛れもない事実だ。
 だが退く訳にはいかない。自分が戦うべき人間であり、守るべき存在があるから。


「戦うぞ…守るべき人達の為にッ!」


 ゲンヤの熱のこもった叫びを聞き、魔導士達は思い出す。自分達の後ろには、守るべき存在があることを。
 杖を握る力が自然と強くなる。全員の目に、戦う意思が灯る。

 その内の一人から、叫び声が上がる。それに釣られ、声はどんどん大きくなっていく。
 最終的には全員から一丸となり、大きな叫び声を作り出していた。


「お前ら…!」


 その光景に、アスカが小さく声を漏らす。
 フォーティーンも相手側の思いがけない行動に、少したじろぐような素振りを見せる。ある意味自らよりも大きな敵が、目の前に出来上がったのを感じたのだろう。


「行くぞお前達! 今度は俺達が戦う番だ!」


 ゲンヤの指示に、全員が応える。
 杖の矛先をフォーティーンへ。敵に対する恐怖や、力がないという劣等感すら飲み込み、守りたい意思で立ち向かう覚悟を決める。

 そ
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