暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
112話:全力を持って
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ッ!」


 雷の閃光によって視界が遮られた瞬間、棍棒が彼の体を捉える。強い衝撃で吹き飛ばされた彼は、先程のガイラと同じように地面に体を打ちながら転がる。
 どうやら気を失ってはいないようだが、強い衝撃の所為で体が限界を迎えたようだ。うつ伏せで止まり、立ち上がろうとしてもうまく立てていない。


「■■■■■ーーッ!」


 そこに響くフォーティーンの雄叫び。ようやく得物を仕留めたとでも言いたげなそれに、アスカは拳を地面に打ち付け、歯ぎしりをする。
 ここで倒れる訳にはいかないとわかっている、しかし立ち上がろうとする意志に反し、体は言うことを聞いてくれない。

 なんでだッ、やらなくちゃいけないんだッ。だから…言うことを聞いてくれ!

 そう切に願うが、体は未だ重い。こんな時に、と拳を振り上げ再び叩きつけようとして……
 誰かがその拳を掴んだ。


「ッ…!」


 思わず視線を移す。そこには先程突き飛ばされ、もう既にボロボロのガイラが立っていた。


「……立て」


 短くそう言うと、ガイラはアスカの手を引っ張り上げる。
 おかげで立ち上がることはできたが、アスカは驚きながら尋ねる。動いて大丈夫なのか、体は?と。


「大丈夫な訳あるか」
「…だよな」
「それでも…俺は今ここでくたばるつもりはない。―――それは、お前もだろ?」


 ガイラの質問に、あぁそうだったと頷く。
 互いに目指す目標がある。明確に明言したわけではないが、そういう話はコンビを組んだ時になんとなく話した。

 その時に感じた信念―――否、執念とも感じられる彼の表情はよく覚えている。何か譲れないものがあるのだろうと。
 それは自分も同じだった。目標を持ってあの部隊に入隊し、あの背中を目指した。今ここでそれをポイ捨てできる筈がない。


「今はまだ、コイツには勝てない」
「あぁ、だから―――信じるしかない」
「あぁ…まぁ、あの人がこの場にいない方が信じられないのだが」


 そうだな、とガイラは支えていたアスカを離し、自ら構えを取る。
 アスカも身体中の痛みを我慢しながら、拳を握る。勝つことが全てじゃない、今はこいつをここに留め続けることを目的へ切り替える。

 満身創痍の二人、しかしその瞳には絶望の色はない。むしろ先程よりもメラメラと激しく揺らぐ炎が見えるほどの眼光が、フォーティーンへと向けられる。
 それを見たフォーティーンは、雄叫びを上げる。目が死んでないことを理解し、二人を未だ標的として設定し続けるようだ。














 凶暴的な黒い怪物と、それに立ち向かおうとする二人。
 そんな光景を、ただ茫然と見つめていただけだった魔導士達
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