暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
112話:全力を持って
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音すら聞こえず、棍棒は屈んだガイラの上を通った。
誰もがアスカの行方を追い、そして気づいた。フォーティーンの眼前に、拳を引き振りかぶっている人影があることを。
「―――フォイボスブロー=I」
拳に炎が渦巻き、引き絞られた拳が放たれた。
炎を纏ったそれは見事フォーティーンの額を捉え、顔面を跳ね上げる。
その光景に「おぉ!」と歓声が上がる。初めてフォーティーンに攻撃が加わったのだから、致し方ない。
だがこれはフォーティーンにとっては叩かれた程度だったのか、跳ね上がった顔はすぐに引き戻され、怒りの混じった咆哮が放たれた。
「まずっ―――」
〈 Luna 〉
「うおッ!?」
すぐに攻撃が来る。そう判断したアスカだったが、彼の腰に黄色いロープのようなものが巻かれ、体が急に引っ張られたのだ。
目の前に落ちる稲妻、少しでもあそこにいればその雷に焼かれていただろう。アスカは誰かに助けられたことになる。
引っ張られはしたが、アスカはうまく地面に着地する。視線を横に送ると、フォーティーンへと駆け抜ける、ガイラの姿が。
〈 Heat, Maximum drive ! 〉
「バーンブレイク=I」
再び顔面を捉える炎、それはガイラの振るった銀色の棒に灯ったものだった。
流石フォーティーンも、これには小さく呻き声を上げる。着地したガイラはすぐさま駆け出した。
「サンキュー、相棒!」
「礼なんか言ってる場合か! 早めに止める、急げ!」
「ッ、おう!」
ガイラに言われ、気を引き締めるアスカ。再び交差させるように両手を突き出し、今度はすぐさま両側に広げる。
すると足元に魔法陣が展開され、再び炎が荒れ狂い、魔法陣から稲妻が走る。
ガイラもフォーティーンの横に建っていたビルを勢いよく駆け上り、フォーティーンの前上へと飛び出した。
そして四本のメモリー―――緑と赤、黄色と紫にそれぞれ配色されたものを懐から取り出し、その全てを右足の四つのスロットへと滑り込ませる。
〈 Cyclone 〉〈 Heat 〉〈 Luna 〉〈 Joker ! 〉
「マキシマムドライブッ!」
〈〈〈〈 Maximum drive !! 〉〉〉〉
「轟け炎!
滾
(
たぎ
)
れ雷! 二つの力一つと成りて、敵を射抜く力とならん! ―――オーバードライブッ!!」
〈 Blazing arow ! 〉
空中で回転しながら、ガイラの足が光を纏う。
しかしそれは今までの紫色の光だけではなく、他の三色も混ざった、キラキラと輝くダイヤモンドのような輝きだった。
そして地上にてアスカは、右足と右手を後ろに引き、右腰に添えた右手の近くに左手を添える。
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