暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
112話:全力を持って
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と手首を切り裂かれ、聖杯が地面へと盛大な音を立てて落ちる。


「さて…そろそろ終いしよう」


 無事に着地したディケイドは、剣先を横に向けそう言うと、未だ空で回転していたホログラムが新たに七枚、剣に突き刺さる。
 ゆっくりと掲げられた輝く剣は、更に巨大化していく。まさに四肢をもがれた状態のフォーティーンは、その体で押しつぶそうとしているのか、それとも強靭な顎でかみ砕こうとしているのか。蛇のような動きでディケイドへ迫ってきていた。

 だがそんな事も気にせず、剣を構え手に力を籠める。


「てめぇの跳梁も―――ここまでだッ!」


 一瞬の閃光。
 ディケイドの手によって振るわれた輝く大剣は、フォーティーンの顔面を切り裂き、胴体を両断する。
 フォーティーンの声にならない悲鳴が響き渡る。切り裂かれた胴体の切り口から、眩い光が漏れだし始めた。

 そして遂に……





 漏れだした光は炎に変わり、轟音と共に煙が辺りを包み込んだ。
























 視界をほぼすべて煙で覆われ、状況が飲み込めない面々。
 あまりに浮世離れしていた光景を目の当たりにして、口があんぐりとしたまま茫然としている者もいた。

 煙の中から影が見えてくる。腕で煙を振り払うように、現れたのは……


「士さん…!」


 先程までの仮面をかぶった姿―――ではなく、制服を着こなしながらも所々包帯が見え隠れしている姿……
 門寺士、その人であった。


「よう、怪我の方は大丈夫か?」
「…大したことはない」


 肩を支え合う二人を見て、肩を落とす士。
 その様子で言われてもねぇ…? と苦笑いしながら言うと、ガイラはむっと顔をしかめる。


「門寺…」
「あ、ナカジマ三佐!」


 バリケードの奥から出てきたゲンヤ、それを見かけた士は、ニカッと笑みを浮かべ指を二本立てた。
 所謂、Vサインだ。

 それを見た魔導士達は、ワァァァッと歓声が上がった。
 巨大な敵を倒せた、その事実が魔導士達にとって大きなものとなっていく。守るべき者達を、守ることができた。
 それが見ていた者達全員に、喜びを与えたのだ。

 ―――しかし……


「―――ッ…!」


 皆の喜びようを笑いながら見ていた士だったが、突然顔を強張らせ後ろに振り向いた。
 側にいたアスカとガイラ、そしてゲンヤは士の様子に、不思議に思った。そしてどこかに孕んだ不安が、周りで喜び合っている全員にも伝染し始める。

 歓喜から静寂へと一気に変わる空間。そこにいる全員の視界の先、未だしっかりとは晴れない煙の先。
 ―――そこから
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