第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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まれた一抹の違和感が澱のようにマージョリーの感情をザワめかせた。
(……)
その周囲の注目を一身に集める少女は、
一度刀身に遺った蒼い火の粉を血飛沫のように振り払い、
あくまで冷静にここまでの戦況を分析していた。
(一つ、ハッキリしたコトがある……
戦闘が始まってこれだけ経つのにアノ女は、
他の戦闘自在法は疎か炎弾の一発も撃ってこない。
昨日みたいな極大焔儀を警戒して距離を取ったけど、
どうやらそれは杞憂だったみたいね)
冴え渡る脳裡で紡がれる真理と共に、その口唇にも澄んだ微笑が刻まれる。
(恐らく、あれだけのトーガを自律と指 導 に
切り換えながら同時操作するのにかなり神経を削られるか、
或いは行使する力全体の消費量が大き過ぎるのかもしれない。
何れにしても、 『トーガが出ている限りアノ女は他の焔儀は遣わない』
否、 『遣えない!』 )
導き出した結論に、黄金の光を宿す灼熱の双眸が一際輝く。
そして空間に響き渡る勇ましき鬨の声。
「さぁッッ!! どうしたの!! 倒したトーガはたったの3体!!
まだまだこんなモノじゃあないでしょう!!
来なさい!! “弔詞の詠み手” マージョリー・ドー!!
それともまさか臆したのッッ!!」
(チビジャリがッッ!!)
再び己を刺す剣尖から告げられた言葉に、
軋ませた眦と共に美女は激昂する。
しかし彼女に心中の二の言も与えぬまま、シャナは森厳な言葉で再度告げた。
「来ないなら……こっちから……行ってあげましょうか……?」
「ッッ!!」
言うが速いか少女は両の足裏を爆散させ、
滑車で吊り上げられるように大きくトーガ達の頭上、
ガラス張りの天井スレスレを黒衣をはためかせながら、
反転した躰で天空を仰ぐように飛翔する。
時間にして僅か数秒にも充たない帯空だったが、
見上げる炎獣と異能者達の視線の元、
制服を取り巻く気流を全身に感じながら少女は双眸を閉じ、
何かの儀式で在るかのように心中の想いを反芻した。
(不思、議……自分でも……驚く位落ち着いてる……
幾ら機先を制したとは言っても……余裕なんか生まれる相手じゃない筈なのに……)
凄惨なる戦場の直中でまるで涅槃の境地へ達したかのように、
想い以外の存在はスベテ意味を無くし、跡形も無く消え去った。
(それに……新しいチカラが……どんどん湧き上がってくる……!
今なら……誰にも……負ける気がしない……なんでも……出来る……ッ!)
言葉の終わりと同時に、先刻以上の気高き色彩を以て見開かれる、真紅の灼眼。
気づけば眼下、己の着地点数メートル先にマージョリーが在り、
呆気に取られたような表情でこちらを見ている。
無想の刻は終わりを告げ、少女は再
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