第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#19
DARK BLUE MOON? 〜Gravity Angel Drive〜
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【1】
紅世の徒 “屍拾い” ラミーの 『能力』 は、
己が存在を無数の断片に分割し、ソレに遠隔操作系の自在法を編み込んで
自律行動を促すという云わば“増殖” の幻術。
無論スタンド能力と同様その司令塔である 「本体」 は存在し、
ソレが消滅すれば他の断片も同時に霧散するが
元の存在が 『自分自身で在る故に』
広域に点在する数十体以上のラミーを「本体」か「断片」か、
判別するのは非常に困難である。
恐らく卓抜した自在師、紅世の王クラスでもまず看破は不可能。
しかし、水が火を消すようにどんな領域にも “天敵” というモノは存在し、
ソレがジョセフ・ジョースターの持つスタンド 『隠 者 の 紫』であった。
過程も方策も一切消し飛ばし、ただ 「結果」 のみが歴然と現れる未知なる 『能力』
絶対の安全圏に位置しながら他の断片になど見向きもせず、
さながら蒼き凶星の如き暴威を捲き散らしながら「本体」へと一直線に
突っ込んでくる存在を感知した刹那、ラミーが思わず死を覚悟したのは想像に難くない。
「封ゥゥゥゥ絶ェェェェェェッッッッッ!!!!!」
けたたましい爆裂音と共に精巧に研磨された分厚いガラスが
軒並みブチ割れるよりも速く、この世の因果の流れを切り離す自在法が発動し
その建物を中心として群青の炎が波濤の如く異郷の街路を塗り潰していく。
蒼き封絶の中に降り注ぐ硝子の豪雨を背景にソコへ降り立ったのは、
復讐と憎悪のドス黒い凝塊を瞳に宿す一人のフレイムヘイズ。
崇高な芸術品が静謐に陳列される閑静な雰囲気を称えた美術館内部は、
一瞬にして殺戮の狂気に充たされた地獄と化した。
「どこだァッッ!! どこにいるゥッッ!!
紅世のッッ!! 徒アアアアアアァァァァァ――――――!!!!!!!」
空間をバリバリを撃ち砕くような威圧感を伴ってまず美女が
「今さら隠れたって無駄なんだよッッ!! もうチェック・メイトだッッ!!
せいぜい優しく咬み散らかしてヤっから出て来なラミーちゃんッッ!!
ヒャアアアアアーーーーッハッハッハッハアアアァァァァァ!!!!!!」
次いでその被契約者である紅世の王が蒼の空間に狂声を響かせる。
破滅の戦風が内と外に吹き荒ぶ中、
半ば無意識にマージョリーは胸ポケットの写真に手を伸ばしていた。
ソコに映る存在をもう一度眼に灼きつけ、己の憎悪を更に増大させる為に。
彼女は明らかに、そのドス黒い焔に灼かれるコトを 『愉しんでいた』 が、
それを認識する理性は既に灰燼と帰していた。
「ッッ!!」
その美女の瞳が、大きく見開かれる。
継いで冷酷な微笑が、ルージュで彩られた妖艶な口唇に刻まれた。
「コレは
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