十六話:遊園地2
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る。
あまりに速い返事に頼んだ側であるジャンヌの方が驚いてしまう程だ。
しかし、彼も何も言わないわけではない。
『でも、一つだけ約束してほしい』
「なんでしょうか…。あ、その、私に失望したのであれば別に他の方を好きになっても……」
『どれだけ時間をかけてもいいからジャンヌが一番幸せになれる答えを出して』
元気のないジャンヌの声を否定するようにハッキリと告げる。
『俺のことを気遣う必要なんてないから。君が俺を選ばなくても、他の人を選んでも君が幸せならそれでいい。……ちょっと悔しいけどね』
苦笑いを浮かべながら告げるぐだ男にジャンヌは訳が分からなくなる。
悪いのは優柔不断な自分なのにどうして彼はそこまでしてくれるのかと。
そんな疑問を抱いていることに気付いたのか、ぐだ男は続けて口を開く。
『好きだから。ずっと笑っていて欲しいから、幸せになって欲しいから、それだけだよ』
満面の笑みを浮かべて言われた言葉にジャンヌの心はどうしようもなく荒れ狂う。
まるで彼の想いが濁流となって押し寄せてきたのかのように。
彼女の心を大きく揺さぶっていく。
「……いいんですか?」
『無理して決めても仕方ないでしょ?』
「それは……そうですが」
少し納得がいかないが相手が了承してくれた以上、掘り返すのは逆に失礼にあたる。
そう自分を納得させて不規則に速い鼓動を繰り返す心臓を落ち着かせる。
「分かりました。お言葉に甘えさせていただきます」
『どんどん甘えて』
「は、はあ……」
すぐにいつも調子に戻ったぐだ男を見ながら彼女は考える。
特別な愛とはどういったものなのかと。
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