十六話:遊園地2
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して瞳が合う度に目を逸らし再び目を合わせるというのを繰り返す。
「あのぐだ男君……一つ聞きたいことがあるんですが」
『うん、何かな』
お互いに何が話したいのかはわかっている。
だが、その話題に触るにはやはり勇気がいる。
初めに勇気を絞ったのはジャンヌの方であった。
「ぐだ男君はあの時、私に、その……好き…と言いましたよね?」
『……うん。言ったね』
お互いの頬が真っ赤に染まる。
続けて尋ねるまでもないが、それでもジャンヌは問う。
「あの…その……それはどういう意味で…?」
人間として好きなのか、それとも異性として好きなのか。
ジャンヌは勇気を精一杯に振り絞って尋ねる。
ぐだ男は問いかけに対してゆっくりと息を吸い込み口を開く。
ここまで言わせてしまった以上誤魔化すというのは相手に失礼だと考えながら。
『初めて会った時から―――1人の女性としてあなたのことが好きでした』
覚悟を決め真っすぐにジャンヌを見つめて宣言する。
言われたジャンヌの方は驚いているような納得したような器用な顔をする。
だが、そこまで観察する余裕などぐだ男にあるはずもなく彼は一気に言い切る。
『ジャンヌ―――俺と付き合ってください!』
ハッキリとした声で思いの丈を打ち明ける。
ジャンヌは彼の言葉に瞳を潤わせ頬を朱に染める。
そして、何かを戸惑うように口を開く。
「私も……ぐだ男君のことが好きです」
ジャンヌの声にパッと顔を明るくするぐだ男。
しかし、それはぬか喜びであった。
「でも、それが―――特別なものかどうか分からないんです……」
何かを苦悩するように思いを吐き出すジャンヌ。
その顔には何とも言えぬ暗さが漂っていた。
「ぐだ男君のことは大好きです。それは間違いないです。でも、個人に向ける感情かと言われると……どうしても分からなくて」
『うん……』
「それにぐだ男君は記憶がなくても私を好きだと言ってくれました。今の私はきっとその想いに応えられない……いえ、相応しくないんです。特別な感情を向けられて、同じぐらいの特別な感情を返せるか自信がないんです……」
ぼそぼそと普段の彼女からは考えられないようなか細い声で話すジャンヌ。
それは彼女が心の底から悩んでいる証拠。
必死に考えて何とか答えを探そうとしながらも見つけられないもどかしさ。
常に正しく、公平である聖女故に見つけられない答え。
「すみません。こんなことを言うのは失礼だと思いますが……待ってくれませんか?」
『分かった』
「私がちゃんとした返事を出せるまで待って欲しいんです…て、え?」
必死な表情で懇願するジャンヌにぐだ男は即答す
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