十六話:遊園地2
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
近接戦で暴力の嵐をさばいていき、ぐだ男が遠距離からガンドなどで援護する。
そして、遂にジャバウォックの動きが止まる一瞬を作り出すことに成功する。
『今だ!』
「任せろッ!」
ぐだ男の合図によりラーマは手に持つ剣を頭上に掲げる。
それは記憶による剣術ではない。生まれた時から持つゆえに本能が覚えている技。
魔性の存在を相手に絶大な威力を誇る、本来は矢として放つ奥義。
「ブラフマーストラッ!!」
光の輪と化した刃がジャバウォックを切り裂かんと襲い掛かる。
「つッ、やはり硬いな…!」
しかし、夢の住人であるジャバウォックはそう簡単には死んでくれない。
この身に死など訪れはしないとでも言うように不滅の刃を押し返し始める。
ラーマの額から嫌な汗が流れ落ちる。それは死への恐怖からではない。
ここで負けてしまえば名前も忘れた愛する人を守れないかもしれないという恐怖からだ。
だが、現実は常に残酷だ。ジャバウォックの力が徐々に上回り始める。
―――もうダメか。思わずそう考えてしまう。しかしながら、彼は一人ではなかった。
『令呪をもって命ずる―――打ち勝て!!』
「礼を言うぞ―――友よ!」
ぐだ男からの令呪のブーストを受けて更に凄まじい力を得る不滅の刃。
流石のジャバウォックもこれには太刀打ちすることができずに徐々に押し切られていく。
そして―――
「ハァアアアッ!!」
―――遂にジャバウォックの体を切り裂く。
呻き声をあげる怪物に止めと言わんばかりに炎と雷を伴った爆発を巻き起こす。
爆炎の中に消えていったジャバウォックに背を向けラーマは戻ってきた剣をキャッチする。
「この戦い、我々の勝利だ」
『早く、ここから抜け出そう』
「ああ、そうだな」
これで終わったと安堵し二人は急ぐように森の出口へと向かっていく。
―――だが、しかし。
【■■■■■■■!!】
怒り狂う咆哮により二人の足は地面に縫い付けられることとなる。
「馬鹿…な…?」
『まだ……生きている…!』
振り返り、絶望する。
ジャバウォックの姿は一目で重傷と分かるほどに傷ついていた。
身体中から血を流す姿は人間であれば身動きできない程だ。
しかしながら、敵は獣、否―――化物である。
動けない道理はない。
「来るぞ! 避けろ!!」
ただひたすら単純に突進を繰り出してくるジャバウォック。
単純な技であるが手負いの化物が繰り出すそれは一つの災害も同然。
逃げる間も与えず、受け流すことも許さない猛威。
そのあまりの破壊力の前に為す術なく二人は吹き飛ばされる。
『ぐっ…!』
「がはっ!?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ