十六話:遊園地2
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昼食を食べ終わり再び園内を回り始めるぐだ男とジャンヌ。
初めは少し距離感のあった二人も今では自然に近くに寄っている。
しかし、それを快く思わない者はまだいる。
「ま…まだ諦めたわけではありませんぞ! ここで希望を断つわけにはいかないのです!」
アーラシュのステラの影響で全身に傷を負いながらも執念で立ち続けるジル。
娘のために老骨に鞭を打つといえば聞こえはいいが、単に迷惑なだけである。
「使いたくはなかったですが、次のアトラクションでジャンヌのことを綺麗に忘れてもらいましょう」
最後に何とか悪役らしい笑みを浮かべて歩き去っていくがその後ろ姿はあまりにも情けないものだった。
「なんだか聞き覚えのある声がしたような……」
『人が多いし声が似ている人もいるんじゃない?』
「それもそうですね。あ、今度はあれなんてどうですか?」
何となくジルの存在に気づきそうになりながらもやはり気づかない二人。
そんなやり取りの後に二人が入っていったのは“鏡の国のアリス”。
粒子ダイブによって空想の世界に入り遊ぶというものだ。
『あれ? あそこにいるのは……』
アリスの世界に入ったところで見覚えのあるオレンジ色の髪を見つける。
そして隣にいるのは同じ色の髪のツインテールの女の子。
『もしかしてラーマ?』
「ん? おお、ぐだ男にジャンヌ・ダルクではないか!」
「ご友人でしょうか、ラーマ様?」
振り返った二人は予想通りの人物であった。
ラーマに恐らくは彼の彼女であるシータ。
どうやらデートの最中に出くわしたようだ。
「ああ、シータは初対面なのだな。この者達は中々に面白い人物でな。余の友人だ」
「そうですか、ラーマ様がお世話になっています。シータです、どうかよろしくお願いします」
『ぐだ男です、よろしく』
「ジャンヌです。こちらこそよろしくお願いします」
礼儀正しく礼をするシータに二人も挨拶を返す。
シータはぐだ男の顔を見た後にジャンヌの顔を見て不安そうな顔を見せる。
何か粗相をしてしまったのかと不安がるジャンヌを置いて彼女はラーマに視線を向ける。
「ラーマ様……彼女とは…?」
「シータ、邪推するでない。余が愛する女性は過去にも未来にもそなた一人だけだ」
「もう、ラーマ様ったら…」
シータはどうやらジャンヌとの関係を疑ったようだが特大の惚気ですぐに疑うのをやめる。
ぐだ男とジャンヌがそんな桃色空間を作り出す二人を何とも言えない目で見ているとラーマの方がふと思い出したように声をかけてくる。
「しかし、共に居るということは余の助言が役に立ったようだな」
「はい…助言?」
「実はだな。ぐだ男はそなたに―
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