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ビロング/ビサイド
ビサイド
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ってくる。所有感と、愛かもしれない。ジョンはもう話せない。口を開こうとして、涎になって落ちるのを隠そうとする。胸だけ上げて左腕を衝き、抽送を始めた。ゆっくりやる。
「ああああ」
ジョンが乱れてゆく。こんなの見たことない。セックスってこうなんだ。理性が動いて気が散り始めた。顔が見たかった。一度抜き、腰を抱えて表に返す。一回り小さい彼の脚を肩にかけ、入れ直した。ジョンは腕で目を覆う。
「シャーロック、君が好きだ」
それだけやっと言って突かれるたびに喘ぐ。感じて締めてくる。ずるい。愛しさが爆発した。これは僕のものだ。絶対に。擦れる感触に酔って忘我する。
「来た、何だ。何だよこれ、あああっ」
ジョンの反応に合わせて速さを上げる。深く刺して奥にいった。背筋に走る。射精の快感のあと、うまくできた達成感が満ちてくる。ジョンは息を切らせて顔を赤くしていた。
「今の。いったよ僕。たぶん、後ろでいった」
「…ミラクル」
「うわー」
動揺して枕に突っ伏す。尻を撫でてやる。
「すごくいいんだ…。悪いことをしていて、感じちゃいけないのに感じる」
「うん」
横目で僕を見た。
「今ごろ立ってきた。何とかしろ」
寝たまま向かい合った姿勢を寄せる。手を伸ばす。腹で挟むように上を向けて腰を付ける。
「手でしよう。キスしながら触るの好きだ」
僕の立ちかけのペニスを彼も指先で触れてきた。いたずらみたいな感じがして楽しい。互いの甘い息を吸い、唇を重ねる。長く、長く、上になり、下になり、傾けてずっとキスをする。酸欠でアタマがぼんやりしてきた。固いのを押しつけ合う。
「いくよ」
「一緒にいこう」
腹の上に出して精液が混じった。激しくなくてもよかった。

ー僕たちは死に近づいて仕事をしている。危ない目に遭う。強くなろうとする。生と死を分けるのは純粋に運だ。いつか負ける。最後には死ぬんだ。
ー僕たちは長生きしないね。
夜の中、静かな湖面に舟を浮かべているようだった。湖は死だった。

朝食の散らかった皿を退けて、ジョンがテーブルに肘をついて乗り出す。青いネルシャツを着て男の顔だ。僕もカルキュレーター・マシンに戻る。
「僕たちはうまくいってる。毎日しよう」
「毎日」
「みんな何のためにあんな大騒ぎして結婚すると思ってるんだ。毎日やるためだぞ」
「ええっ」
「ハネムーンだ」
もう大丈夫な気がした。苦しい恋は生活に溶けてゆく。
「そうだ、歯医者に行けよ。今日も暇だろ」
その時、ドアベルが鳴る。
「依頼人だ。始発電車で来たんだ。『至急』だよ」
冒険への期待で胸が躍る。僕たちはまた、二人で走る。

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