暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十一話 開幕ベルは鳴った
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。情報部からの通達によると十八日に着いたらしい。まあ当分は引継ぎやら訓練やらでドタバタするだろう。

イゼルローン方面はとりあえず放置だ、問題はフェザーン方面だな。帝国軍がフェザーンに軍を進めたとき、同盟はそれを座視できるか? 難しいだろう、イゼルローン要塞が有る、帝国軍が攻め込むのは不可能、そう思えばこそ同盟市民は帝国の脅威を感じずにすんでいる。しかし帝国軍がフェザーン回廊を制圧するとなれば……。

パニックになるだろう。フェザーン回廊を帝国に渡すなとヒステリックに叫ぶに違いない。同盟がフェザーンを征服してくれたほうがこちらとしては有り難い。フェザーンが同盟の搾取を受ければ、帝国は後々解放者としてフェザーンに侵攻できる。

拙いのは同盟が侵攻せず帝国軍が侵攻する形になることだ。一つ間違えるとフェザーンで独立運動が起きる事になる。鎮圧しフェザーンを安定させるのにかなりの時間が必要になるだろう。同盟領侵攻はその分遅くなる。

同盟の政治家達がその辺をどう読むかだな。レムシャイド伯が同盟に連絡を取った時、応対したのはヨブ・トリューニヒト、ジョアン・レベロ、ホアン・ルイの三人だった。つまりこの三人がトリューニヒト政権でインナーキャビネットを構成しているということだろう。

ヨブ・トリューニヒトか……。あれはなんだったのだろう、原作では政治信条などまるで無かった男だ。ただ権力を、支配する事を、支持されることを望んだようにしか見えない。この世界でも同じなのか?

そうでは有るまい、この世界は原作とはかなり違いが有る。ヨブ・トリューニヒトにジョアン・レベロ、ホアン・ルイが明確な形で協力している。ただの権力亡者にあの二人が付くとは思えない。この世界のトリューニヒトはそれなりの人間だと考えたほうが良いだろう、あるいはただの飾りか。

そしてジョアン・レベロにはシドニー・シトレが付いている。レベロ、シトレ、ヤン、このラインが機能するようだとトリューニヒト政権はかなり戦略的な思考をする政権になるだろう。市民のパニックを抑えこちらの狙いをかわそうとするかもしれない。しかし、抑えきれるだろうか、難しい所だ。

それとホアン・ルイ……、注意が必要だな。俺はこのホアン・ルイという男をかなりの曲者だと思っている。原作ではレベロと親しいように見える。しかし彼はヤンの査問会議にも参加している。という事はトリューニヒトとの間に有る程度の協力関係が存在したという事だろう。だがトリューニヒトに対してもレベロに対しても閣内に入って支える事まではしていない。

あの帝国領侵攻による敗北で同盟はガタガタになった。おそらくホアン・ルイは敗戦後の同盟をまとめるにはトリューニヒトのカリスマが必要だと考えたのだと思うが、信用はしなかったのだろう。いずれ失敗すると見た。それが積
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ