追いかけっこ
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ている。痛みとあまりの扱いにしくしくと涙を流しながら、なんとか顔をあげて最後の攻防を見届けることにした。
「っざけんなぁ!!」
「いける!!」
頭からヘッドスライディングで決着をつける勝負の鍵を守りにかかるトレジャーハンターと、自慢の体の柔らかさを生かし、大きく一歩を踏み出しリングを掠め取ろうとする魔導士。
その場にいる全員がその様子を見届けようと、瞬きすることも忘れて食い入るように見つめる。
ガシッ
両者の手がリングにほぼ同時に到達する。だが、ほんのわずか・・・数ミリほどの差でリングに届いた小さな手が、止まることができずに転がるように相手の脇を抜けていく。
「やったー!!リング取ったぁ!!」
受け身を取るようにしながら立ち上がり、誇らしげに右腕を掲げるソフィア。彼女のその手には、太陽に照らされたリングがガッチリと握られていた。
「はぁ・・・終わった・・・」
わずかにリングへと届かなかったユウガさんは、悔しそうにそう呟くと、仰向けになり大の字に寝転がる。それはもう、このゲームを諦めたように捉えることができた。
「これで・・・終了!!」
自らの腕にリングをはめて再度その腕を掲げる。それと同時に、街中にアナウンスが鳴り響いた。
『Aフィールドにて行われておりました準決勝、小さき魔術師が五つのリングを集めましたので、決勝進出となります。決勝戦は―――』
決勝開始の時刻やら場所やらがコールされているが、それどころではない。俺たちは勝利できたことに大喜びで最後の勝負を決めた少女に駆け寄っていた。
「やったよ!!シリル!!ウェンディ!!」
両手を広げて抱き締める準備万端のソフィア。俺は彼女の元に誰よりも先に駆けていく。
「ナイス!!ソフィア!!」
弟が姉に飛び付くような、そんなシーンを想像させるように笑顔で走り寄っていく。そして・・・彼女に飛び付く寸前で・・・
「なんて言うわけないだろ!!」
「どはっ!!」
高くジャンプをして顔面に飛び蹴りを叩き込む。予期せぬ攻撃に、少女は倒れながら鼻血を流していた。
「よくも人の頭を踏みやがって・・・」
「えへへ/////ゴメンゴメン」
先ほど頭を踏みつけられたことに憤りを感じていたので、今の攻撃を加えてやったのだ。彼女は鼻血を拭き取った後、頭を掻きながら上体を起こしていく。
「いいじゃんシリル、勝ったんだから」
「そうだよ、今のでおあいこでいいでしょ?」
その俺の手を引き、宥めようとするウェンディとシェリア。だけど、あいにく今回は二人のお願いでも引き下がるわけにはいかない。
「今日もこいつには散々な目に合わされてるもん!!決勝前に仕返ししとかないと!!」
丁
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