15 6の直後のお話
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と覚える気にもならない。
国名は知っているはずなんだが、もう存在が面倒くさいから記憶の片隅に追いやられたのだと自覚する。
「その属国に動きについてですが…軍事国家から強要されて、近い内に小規模部隊による牽制が行われるようですね」
「顎で使われるとは情けないな」
「自業自得です。 半分はエルザ姫も原因ですが。 それはともかく、これを機会に“言い訳”が立ちます」
言い訳。 つまり召し抱える“理由”か。
傭兵なのだから、戦場となれば手柄なり何なり持ち上げる事が出来る。 それこそ捏造する事もな。
そのついでに牽制部隊には痛い目を見てもらうというおっさんの魂胆も見えた。
それに俺は素直に関心した。
「おー、なるほどな。 頭イイなお前」
「……これをするには、エルザ姫が直接目をかける、という前提があるのが不安材料ですけどね」
「ひどい言い草だな」
俺がそう言うと、ロックスのおっさんに大きな溜め息を付かれた。 なぜだ。
「まぁ、それはともかく…」
色々なお仕事をやらされるんだろうなぁ、といった疲れた顔をさせながら、ロックスのおっさんは指で押し上げた眼鏡の向こうから視線を向けてきた。
国を導く事に共通してそれなりの付き合いのある俺は、それが何か役割を伝える素振りだな、とすぐに察して意識した。
「その傭兵にエルザ姫自ら接触する事を忘れないでください。 接点という材料があるといいですからね」
「おう、そんな簡単な事なら任せろ」
―――。
『やめてー!』―――と、その当人である傭兵、レヴァンテン・マーチンがこの場にいるとしたら悲鳴のような悲痛な声をあげていただろう。
だが傭兵人生の終焉の裏には、そんな会話があった事を彼は知る由もない。
姫陛下と宰相の思惑だけが水面下で進められているなどつゆ知らず。
レヴァンテン・マーチンが約束された転職予定の傭兵となって、売られていく羊のように荷馬車に乗せられて行くのはそれから数日後の事だった。
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