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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
15 6の直後のお話
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 もちろん一番は俺だ。
 だが頭がいい。

 けれど口煩(くちうるさ)い。
 だが、俺に対して苦言(くげん)が言えるくらいに向かい合ってるとも言える。
 まぁ、宰相(さいしょう)をしてるのならそれくらいがちょうどいいけどな。

「ちょっと傭兵(ようへい)が欲しいんだ」
「…生贄の部隊ですか? それはちょっと…将軍と相談を」
(ちげ)ぇよ」
「なんだ、てっきり鬱憤(うっぷん)が溜まりすぎて部隊単位で殴り倒したいのかと思いました。 では、件の属国の勢力に殴り込みですか? それは時期が来ますので今しばし…」
「だからそれも(ちげ)ぇよ。 今回は重要な話だ」

 俺から始める重要な話とはいつやったっけ……そういうのはいつも宰相(さいしょう)のロックスのおっさんが仕切る事だから記憶に無い。


「失礼しました。 まだ書類の途中でしたので…はい、一区切(ひとくぎ)りしましたのでちゃんと話を聞きましょう」

 今の会話のしている間にも手だけは書類を処理していて、それもひとまず終わらせたようだ。
 机に()まれた書類の大半は俺が処理する事になるのだろう、と思うと面倒臭(めんどうくさ)さが込み上げてくる。

 ロックスのおっさんは気持ちを切り替えるようにして、眼鏡を指で押し上げた。

「で、傭兵(ようへい)が欲しい…と言いましたがどういう事でしょうか?」
「ああ、それがな」


 ―――かくかくしかじか、と。



 俺が殴り倒した事から始まった短いあらましを語った。
 その中には、もちろん俺の要望も含まれていたのだが……。


「ダメに決まっているでしょう」

 ロックスのおっさんに一蹴(いっしゅう)された。

 俺がわざわざ事情説明――ミーア姉ちゃんが補足(ほそく)しつつ――したのに、すげなく却下された。
 わかってはいたけど、ダメ出しにしてもばっさりすぎる。

「ダメかー?」
「ダメです。 そこらの傭兵(ようへい)を、しかも(えん)もゆかりも無い者を()し抱えるなんて周りから反対されます。 私もその一人です」

 説明が必要ですか?、とロックスのおっさんはジト目で語りかけてくる。

 何故(なぜ)かなど、俺だってその根拠(こんきょ)を知らないわけじゃあない。

 小国とはいえこの国で一番偉い俺が、なんの功績(こうせき)も持ってない存在を(そば)(つか)えさせたら不満に思うやつがいるだろう。
 例えば、数は少ないとはいえ貴族の内の一部のプライドの高い貴族。
 例えば、下っ()の中で実力の伴わないくせに野心のある一部の兵士。
 例えば、生死や素行にやたらと五月蠅(うるさ)い宗教関係の人間などなど。
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